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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

現天皇が求める「天皇像」 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年2月19日第141号 ■     =========================================================     現天皇が求める「天皇像」                                                                    ========================================================  昭和天皇の心臓バイパス手術に関する報道の中で私が最も注目した 記事がこの記事である。  きょう2月19日の東京新聞にノンフィクション作家・保阪正康氏 が「陛下が求める『天皇』」と題して手記を寄せている。  手術が滞りなく行なわれたとの医師団の発表に接し、もとより私 (保阪氏)も安堵とひとしおの喜びの感を持つ国民の一人であると 前置きの上、国民には陛下に対する二つの思いがあると保阪氏は 次のように書く。  すなわち、ひとつは78歳の陛下が老いからくる肉体的疲労にも かかわらず、公務に取り組んでいることへの畏敬の念であり、もう ひとつは、陛下は近代の歴代天皇とは異なった天皇像を模索されて おり、その天皇像を歴史に刻み込もうとの意思が感じられ、そこに も国民は畏敬の念を持っていると思う、と。  そして保阪氏は、この後者の畏敬の念こそ、私は極めて重要な意味 を持っていると考えるとして次のように続ける。  ここから書くことが、このメルマガで私が書きたい事である。  明治天皇は君主制下の軍事主導体制を目指し、大正天皇は君主制 下の非軍事体制を企図しつつも、当時の政治、軍事指導者たちは軍事 主導体制の国益を求めた。昭和天皇は、君主制下の軍事主導体制を 追認したが、その崩壊後は、君主制下の民主主義体制を忠実に具現化 しようと務めた。  すなわち歴代天皇のそれぞれの意思の中には、天皇を主権者とする 君主制を前提としての政治体制の選択があったのである、と。  現天皇は、こうした形を逆転させて、「民主主義体制下の君主制」 を一貫して求めている。即位時のお言葉から始まり、記者会見などで 明かされるその真意は、すべてこの点に集約されている、と。  私がもっとも注目し、かつ強い共感を覚えるのはその後に続く保阪 氏の次の言葉だ。  「・・・それは昭和天皇が背負われたあの戦争についての自省 の感情を、自らの代の教訓にしての言動」のあらわれである、と。  「推測が許されるならば、陛下はみずからが考えている民主主義下 の君主制、つまり象徴天皇のありうべき姿は、いまだ十分に完整 (ママ)されたとは考えていない。あるいは、道半ばとの思いがある のかもしれない。自らの年齢から来る老いと闘いつつ、公務に精を出 すこと、その姿を通じて皇太子殿下をはじめとして、この時代に生き るすべての人たちに自らの信念を訴えられているのではないか。私は、 陛下のその姿に、素朴な信頼感と安定感を感じ、その理解がなおの こと広まるように祈念するのである」、と。  見事な推測だ。  僭越ながら私もかねてから保阪氏とまったく同じ思いを抱いてきた。  現天皇がご健在である限り平和憲法を変えることは誰にもできない。                              了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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