□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月24日第825号 ■ ============================================================= 「提言型政策仕分け」の報道から見える野田・前原の権力闘争 ============================================================ 行政刷新会議の「提言型政策仕分け」なるものが4日間の作業を 終えたという。 こんな国民を馬鹿にしたものはないが、それなりの意味はあった。 まずひとつは、これを報じるすべての記事、評論が否定的な見方を していたという事である。 それは当然だ。ムダをなくすはずの事業仕分けがムダを無くす事が 出来なかった。 同じような顔ぶれが同じような事をやって、今度は政策の方向性 を決めるという。予算編成そのものの方向性を示すという。 官僚の言いなりになっている野田首相にそんな事が出来るはずが ない。 これでは行政刷新会議そのものが「仕分け」の対象(11月24日 東京新聞)と書かれても当然だ。 それではなぜ批判を承知でこんな馬鹿な事を4日間も続けたのか。 それが二つ目のポイントである。 「提言型政策仕分け」を報じるNHKの報道を聞いていて耳を疑 ったことがあった。 アナウンサーがこれはやがて行なう増税を前にしたパフォーマンスで あると言ったのだ。正確な表現は忘れたが間違いなくそういう趣旨の事 を言っていた。 いくら受信料で成り立っているNHKといえども、NHKは放送法に よってその収支予算は国会の承認を経る事になっている。政府の方針に 正面から反対できない事は公然の秘密である。 そのNHKが、この仕分けは増税の前のセレモニーであると言った のだ。 これは凄いことだと思って聞いたら何の事はない。11月24日の 毎日新聞も書いていた。これは増税による負担増への批判に備える狙い だと書いていた。 もはや正体がバレているのだ。 しかし、私が今度の「提言型政策仕分け」で注目したのは、無駄な 作業の馬鹿馬鹿しさでも、増税のためのパフォーマンスであるという 腹立たしさでもない。 野田・蓮舫と前原・辻元の権力争いの臭いを私は嗅ぎ取る。 私の手元に次のような二つの記事がある。 ひとつは辻元清美が政調副会長に起用されたと言う記事だ。 すなわち10月21日の各紙が一斉に書いていた。前原政調会長は 20日の記者会見で、民主党に入党したばかりの辻元清美を政調副会長に 起用すると発表した、と。 もうひとつはその辻元清美が仙谷由人と並んで「提言型仕分け」の仕分 け人のひとりに指名されたと言う記事だ。 すなわち10月23日の読売新聞は書いていた。民主党は11月に 行なう「提言型政策仕分け」の仕分け人として、仙谷由人政調会長代行、 辻元清美政調会長副会長ら8人を送り込む方針を固めた、と。 野田首相が前原政調会長に対し、党からの仕分け人派遣を依頼していた 事に対し前原政調会長が応じた、と。 確かに仙谷氏が仕分け作業に顔を見せたことはニュースになった。 しかし辻元清美が報道で取り上げられることはなかった。蓮舫大臣 ばかりが目立っていた。 辻元清美は仕分け人として作業に加わっていたのだろか。 そうだとしたらなぜその活躍ぶりが報道されなかったのか。 ソーリ、ソーリの辻元清美にはうってつけのパフォーマンスの場で あったはずだ。 それとも何らかの理由で外されたのか。 ひょっとしたら野田・蓮舫と前原・辻元との間で壮絶な権力闘争が繰り 広げられているのではないか。 そういえば前原を担ぎ出した仙谷由人もまた野田政権の下では霞んで 見える。 前原一派は野田首相から外されているのではないか。 辻元清美が仕分け人の一人として選ばれたと報じた読売新聞は、この事 について書かなければウソだ。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新しいコメントを追加