□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月23日第822号 ■ ============================================================= 韓国国会で米韓自由貿易協定(FTA)が反対される理由 ============================================================ 韓国国会で野党が催涙ガスまで撒き散らして反対する中、与党は 米韓自由貿易協定(FTA)の強行採決に踏み切った。 それを報じる11月23日の朝日新聞は次のように書いていた。 「・・・韓国では・・・農畜産業のほか、保険や医療、薬品など サービス業が打撃を受けるとの懸念も根強い。企業が相手国政府に 損害賠償を求めることができる投資家保護条項に対し、『米企業の思惑 で(韓国)政府や自治体の政策が変更を迫られる』との反発も出ていた。 この条項は日本が交渉参加を表明したTPPでも検討対象となって おり、米韓FTAの成否はTPPの議論にも影響を与えそうだ・・・」 朝日新聞は今頃になって認めた。書き始めた。 米韓FTAに韓国野党、世論が反対している理由は、単に農畜産業が 打撃を受けるだけではなく、投資家保護の名目で、米投資家が韓国政府 を協定違反だと訴えて、韓国の政策を米国企業に都合のいいように変え てしまう権利を米国に与えているからだ、と。 そして同じ懸念はTPP協定にも盛り込まれるおそれがある、と。 この投資家保護条項(ISD条項 ―INVESTOR STATE DISPUTE)こそ、訴訟(法律)をテコに相手国をねじ伏せる米国 資本主義の真骨頂である。 李明博大統領はこの事を韓国野党や国民に説明することなく米韓FTA 締結に踏み切り、後でその危険性がわかって反発が起きたのだ。 ひるがえって日本の野田首相はTPPをめぐる国会質疑でこの投資家 保護条項のことを聞かれて、無知をさらけ出した。まったく知らなかった 事を認めた。 なぜそんないい加減な事が起きるのか。 それは官僚が正しく教えないからだ。大手メディアが書かないからだ。 ネット情報でははやくからこの投資家保護条項の危険性が飛び交って いた。ところが大手新聞は、知ってか知らずか、まとも投資家保護条項の ことを書かない。もっぱら農業問題や開国の是非ばかりを繰り返す。 だからTPP論議はすれ違いに終始する。 野田首相さえ知らないのだから、国民がTPPの危険性、対米従属性 にどうして気づくことができるというのか。 各国の米韓FTA協定強行採決をきっかけに、わが国のTPP論議は もう一度最初から出直して議論すべきなのである。 ここまで米国の利益を優先していいのか、ということである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新しいコメントを追加