□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月19日第813号 ■ ====================================================== エコカーの将来は電気自動車か既存エンジンの燃費改善か ===================================================== いきなり自動車業界の専門誌のような事を書いて恐縮だが、 私にとっては興味深い記事だったので書いてみる。 もちろん私は専門外だ。だから読者の中で詳しい方がおられたら 教えていただきたい。それを読者に共有し、ともに学んでいきたい。 11月18日の日経新聞を読んでいたら米国ロサンゼルスで開幕 した自動車ショーの記事があった。 そしてその記事の中に次のようなくだりがあった。 「・・・米自動車大手が既存エンジン車の燃費向上を急いでいる・・・ 米各社がエンジンの改良を優先するのは、ハイブリッドでトヨタなど 日本勢に大きく出遅れた上、開発に巨額の投資が必要だからだ。電気 自動車もインフラ面などで普及に課題が残る。韓国・現代自動車も (燃費向上の)ガソリン車を投入する計画で、既存エンジンの改良に よるエコカー競争が世界的な流れになりつつある・・・ハイブリッド や電気自動車を主軸に据えるトヨタ自動車はや日産自動車はさらなる コスト低減を迫られることになりそうだ・・」 本当か?この記事はおかしくないか。作為的ではないか。 私は1997年から2000年までの三年間を米国自動車産業の本拠地 デトロイトの日本国総領事を務めたことがあった。 デトロイトは毎年モーターショーで年が明ける。 トヨタがはじめてハイブリッド車をデトロイトモーターショーで紹介 してGMと競ったのはその時だった。 その時、やがてハイブリッドを経て電気自動車の時代がくると言われ、 電気自動車になればもはやそれは自動車ではなく電気製品だから自動車 産業が根本的に変貌するとも言われたものだ。 それから十数年たって、いまではハイブリッドや電気自動車が現実のもの となりつつある。 確かにハイブリッドや電気自動車が普及するにはまだしばらく時間が かかる。実用化するには価格の更なる低下が必要だ。 しかし時代の流れはハイブリッドを経て電気自動車になるだろうと私は 考えていた。 それが米韓の低燃費既存エンジンが主流になるとはどういうことか。 しかも最近は日本でも既存エンジンの燃費向上車も盛んに宣伝されて いるようになった。 既存エンジンの燃費向上でも日本は負けないのではないか。 これを要するに日本の自動車産業技術は世界の競争に勝ったということ ではないのか。 それなのになぜ日本が米韓との競争にさらされるということになるのか。 中国や欧州の自動車産業のことが何も書かれていないことも気になる。 なによりも巨額の開発費が投入できないのでハイブリッドや電気自動車 よりも既存エンジンの燃費向上を選ばざるを得ない米国など、かつての米国 では考えられないことだ。 米韓FTAを結んだ米韓が手を結んだという事か。 米国は政治力を使ってハイブリッドや電気自動車が主流になることを 引き延ばそうとするのか。 韓国は米国と手を組むのか。 中国はどちらにつくのか。欧州の自動車産業はどう出るのか。 この日経新聞の記事は多くの疑問が湧いてくる記事である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)