□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月18日第812号 ■ ====================================================== いまの米国はアジアの安全保障にかかわる余裕はない ===================================================== オバマ大統領のアジア重視ばかりが報道されている。 しかし今の米国はそれどころではない。アジア重視は目くらまし ではないかとさえ思えるぐらいだ。 米財政赤字削減をめぐって米国の政治が機能不全状態だ。与野党 の超党派協議の期限が11月23日に迫り、決裂すれば国防費さえ も強制削減されるという(11月18日日経) その一方で暮らしができない国民のウォール街占領デモがやまない。 少しまえにはアラバマ州の自治体が破綻したと報じられていた (11月11日朝日)。負債総額41億ドルはこれまでの自治体の 破綻では最大だという。 なによりも中東情勢が火を噴く危険が高まっている。 シリアの武力闘争は激化し、ついにヨルダンやサウディアラビアの国王 がアサド大統領に退陣を迫った(11月18日産経)。 これはすごいことだ。中東の最後の穏健派がシリアを見放したのだ。 完全にシリアは孤立した。しかしこのまま引き下がるはシリアではない。 その一方でイランの核開発が確認された。すでに米国とイスラエルは イランのウラン濃縮遠心分離機コンピューターのサイバー攻撃に成功し、 イラン人核科学者らを頻繁にテロ襲撃しているという(11月18日日刊 ゲンダイ)。 イランが黙って核開発をやめるはずはない。 シリアかイランで火が噴く。どちらが先かというだけの話だ。 米国はとてもじゃないけれど、アジアの安全保障に本気で乗り出す余裕は ない。 日本の指導者もメディアも、もっと米国の現実を直視し、国民に知らせる べきだ。 自分たちの勝手な思い込みだけで外交をしたり、報道したりしては世界の 動きを見誤ることになる。 国民を誤らせることになる。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)