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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

TPP問題はなにもかもこれからだ。
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月12日第794号 ■     =============================================================      TPP問題はなにもかもこれからだ。                                              =============================================================  手前勝手で恐縮だが、私が急いで書いた野田首相のTPP決意表明 とその後の展開の予測(メルマガ第793号)が見事に当たった。  どうとでもとれる決意表明。それを賛成派、反対派が、それぞれ勝手 に解釈し矛をおさめる。しかし問題は何一つ解決していない。TPP 問題は今後もさらにヒートアップして続いていく。なにもかもこれから だ(11月12日朝日新聞社説)。  これである。  私はTPP問題をめぐる今後の動きとメディアの報道振りを最大の 関心を持って注視していこうと思っている。  なぜならばそこに私は日本と言う国の将来のすべてを見るからだ。  これは単に経済問題ではない。日本が経済を開放するかしないかの 問題ではない。  日本が米国から自立し、日本の指導者たちが米国ではなく国民のため に政策を行なうことができるのか、そしてその事について真実が語られ、 報道され、そして国民が物事をわかった上で正しい選択を指導者に迫 っていけるか、それを占う問題なのだ。  それとも従来どおりに閉塞した政治の繰り返しが続き、なにも変わら ないまま国民生活が分断され、国力が衰退していくのか、そういう大き な問題であるからだ。  私の最大の関心である、日米同盟から決別し、自主、平和外交のでき る日本に生まれ変われるかという問題であるからだ。  この事を伝えるためにこのメルマガを書いたので、ここで終わりに しようと思ったのだが、TPP問題を報じる今日の報道の中で、この 問題の本質をつく記事をいくつか見つけたので紹介したい。  報道を丹念に読むと、これだけの事がわかるのだ。  11月12日の産経新聞はこう書いていた。  すなわち、11日の首相の記者会見と同じ日に、それに先立って経済 同友会の長谷川代表幹事は次のように記者団に語ったと言う。  「野田佳彦首相の決意は最初から今日に至るまでまったくぶれて いない」と。  その同じ日の読売新聞は特集連載記事「開国TPP パート2 上」 の冒頭で次のように書いていた。  「『私はやり抜きます。決断しますから』。10月28日夜、 東京・虎ノ門の中国料理店。野田首相は、TPP交渉参加の決意を きっぱりと語った。首相を囲んでいたのは長谷川閑史(やすちか)経済 同友会代表幹事や茂木友三郎ミッコーマン名誉会長ら・・・」  つまり野田首相は国民に決意表明する2週間前にすでに財界に約束して いたのだ。財界は国民が知る前に知っていたのだ。  11月12日の日経新聞にはこのような記事があった。中国が懸念を 強め、韓国が驚いている、と。  すなわち、中国は日本政府がTPPに参加すればアセアンプラス日中韓 の自由貿易協定(FTA)交渉は大幅に遅れることになると。韓国は、 過去の日韓経済連携協定(FTA)交渉であれほど農水産品の市場開放に 消極的だった日本が、本当にTPPに参加できるのかと驚いている、と。  すなわち日本は、TPPと同様にアセアンプラス日中韓のFTAを重視 していたはずなのに、ここにきてアセアンプラス日中韓のFTAを捨てて PTTを選択したのだ。韓国に対しては頑として譲ろうとしなかった 農水産品の市場開放を、米国に対してはあっさり譲歩したということだ。  11月12日の東京新聞「記者観論記」のなかで、TPPの民主党内 論議を取材してきた金杉貴雄という記者が次のように書いていた。  民主党のTPPプロジェクトチームの協議を取材してきて思わずため 息が出る場面が何度もあったと。総会は計22回開かれ、議論は計55 時間に及んだというが、出席し、発言するのは反対派の議員ばかりで、 賛成派はいつも数えるほどだった。賛成派いわく「どうせ首相は参加を 決めているから」、「(参加方針は)サイレントマジョリティーだ」と。 ふざけたはなしだ。政治家にサイレントマジョリティーなどあるのか。 国民生活に責任を負う与党の議員には程遠い印象を受けた、と。  賛成派には情報も議論も不必要なのだ。むしろ邪魔なのだ。結論が 決まっているからだ。あのイラク戦争に参加した時とまったく同じだ。  これが野田政権のTPP参加決定の真実の姿である。                               了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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