□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン２０１１年１１月１３日第７９５号 ■ ============================================================= どこまでも卑劣なイスラエルだ。 ============================================================= このところ日本のメディアはＴＰＰ問題の報道ばかりだが、そんな 問題は日本が一人騒いでいる問題でしかない。 見ているがいい。野田首相とオバマ大統領の会談が終われば馬鹿騒ぎ も終わる。 ＴＰＰ交渉は米国と弱小国９カ国の間の協定に過ぎない。アジアの 主要国はこれ以上参加しない。 米国と弱小国の間の交渉でさえも簡単にはまとまらない。 日本が交渉に入ったらもっとややこしくなる。 そもそも日本が交渉に入るのはまだ半年以上も先の話だ。 ＴＰＰ問題で大騒ぎをしているうちに国内では次々に大きな問題が 表面化していくる。消費税問題や普天間問題だ。 世界ではもっと深刻な問題が出てくる。 中東情勢もその一つだ。 ということで中東問題についていくつか書いてみる。 そのひとつはパレスチナの国連加盟問題のその後である。 パレスチナのユネスコ加盟が加盟国の多数で承認された時、ただちに ユネスコへの拠出を停止したのは米国だった。 しかしこれは米国の議会が決めた法律によって拠出ができなくなった からだ。オバマ政権が制裁をしたというものではない。 ところがパレスチナに制裁をした国があった。それがイスラエルだ。 パレスチナのユネスコ加盟を決めたのは、ユネスコの大多数の参加国 である。加盟国の賛成多数が示したユネスコ総会の決定である。 それなのにユネスコに参加要請を行ったのが許せないと言ってパレス チナに制裁するのである。 国連はユネスコのほかにも２０ぐらいの国際機関があるが、それに パレスチナが次々と参加要請されてはたまらない、だからそれをするな と脅かしているのである。 これだけでも、卑劣で、傲慢で、理不尽で、弱いものいじめだが、 その制裁内容がまたひどい。 国連が認めないパレスチナ領土へのイスラエル入植を公然と拡大し、 そしてパレスチナ自治政府が受け取るべき関税収入の送金を一方的に 停止してしまった。 このパレスチナの関税収入の停止については若干の説明を要する。 パレスチナは国家としては認められていなくても自治政府として貿易 をする権利があり貿易して関税収入を得ている。 ところがイスラエルの港湾を使って貿易するしかないので関税徴収は イスラエルが代行し、それを自治政府に送金する事でイスラエルと パレスチナ自治政府との間で合意されている。 これだけでも十分に不平等な合意であるが、イスラエルは一方的に その合意を破って送金を停止したのだ。 この送金停止がいかに卑劣で愚かであるかを発売中のニューズ ウィーク日本語版１１月１６日号が見事に解説している。 すなわちイスラエルが代理徴収する税金（関税）はパレスチナ自治 政府の年間予算３０億ドルの半分近くを占めている。 だからそれが凍結されれば自治政府の行政はマヒし、警官やその他の 公務員の給与の凍結に追い込まれるだろう。 給与の凍結は生活にかかってくる。それがいかに住民の反発を招くか は世界のデモの原因が給与不払いであることからも容易に想像がつく。 しかし、それはイスラエルに跳ね返ってくるとニューズウィークは 書いている。 治安関係者への給与支払いが停止すれば、彼らの士気が下がり、 自爆テロが激化しかねないからだ。 自らに危険が跳ね返ってくるのだ。 このニューズウィークの記事が教えてくれることは何か。 イスラエル政府は、卑劣で不正義で、そして自らの首をしめる愚か な政府であるということである。 そんなイスラエルに中東政策を左右されて評判を落とし、国益を 失っている米国はもっと愚かだ。 その米国の戦争に日本の国防を従属させている日本政府は救い がたいほど愚かであるということである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行：天木直人 ウェブサイト：http://www.amakiblog.com/ 登録／配信中止はこちら：https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
