□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月8日第785号 ■ ============================================================= 読売新聞のこの社説だけは許せない ============================================================= 社説の中には明らかに国民を意図的に誘導しようとするものがある。 たとえば今日(11月8日)の朝日新聞のTPP交渉参加を訴える 社説だ。 朝日は同じ紙面においてTPP反対の様々な記事を掲載している。 そうしてバランスをとっておきながら、社説では断固参加すべきと 異例の大きさで社説を掲げている。 10日に予定されている野田首相のTPP交渉参加表明の明らかな 後押しである。 しかしTPPについては既にその正体が様々な形で明らかにされた。 国民もそう簡単には騙されないだろう。 実勢に賛否両論に分かれている。この朝日の社説をどう判断するか は国民次第だ。 私にはどうしても見逃せない社説がある。それは11月7日の読売 新聞の「パレスチナに必要な和平交渉」という社説である。 国民がパレスチナ問題に疎いだろうと思って書かれたに違いない。 先般のパレスチナのユネスコ加盟について、加盟申請をしたパレス チナを一方的に批判し、世界が歓迎したこの歴史的加盟承認を貶める 社説を掲げていた。 国連の加盟は米国の拒否権にあって不可能だから、加盟しやすい ユネスコ加盟を狙って、将来への国連加盟への国際的な承認取り付け に拍車をかけようとしたパレスチナの戦術だ、と書いている。 米国やイスラエルの言い分そのままだ。 パレスチナ自治政府が統治しているのはヨルダン川西岸だけで、 ガザ地区はイスラム原理主義組織ハマスの支配下にある。この現状を 正さないことにはイスラエルとの交渉など進むはずがないと言い切る。 米国やイスラエルがいつも言っていることだ。 パレスチナが独立を望むならイスラエルと交渉するしか現実的な 方策はないと突き放す。 これも米国やイスラエルが繰り返して言ってきたことだ。 社説はその社の意見だが、もちろん誰かがこれを書いている。 私はこの社説を書いた記者の名前を知りたい。そして質したい。 お前は本気でそう思って書いているのか、と。 1948年にイスラエルがパレスチナに建国して以来、この63年 の間にどれほどの国際法違反がイスラエルによって行なわれてきたか。 それを米国が無条件で追認してきたか。 その裏でどれだけの血が流されてきたか。 そしてその不正義は年を追って目に余るものになってきている。 この社説を書いた読売新聞の記者はそれを知らないとでも言うのか。 極めつけはその社説の最後の次の文章だ。 「パレスチナのユネスコ加盟に棄権を表明した日本も、交渉再開へ の支援を惜しんではならない」。 米国の意向を伺いながら棄権せざるをえなかった日本が、どうして、 どんな形でパレスチナ和平の実現に貢献できるというのか。 この最後の一言が見事にこの社説のウソを証明してくれている。 私は読売新聞のこの社説だけは許せない。 了 ─────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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