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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

日本は韓国を羨む必要はない 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月18日第732号 ■     =============================================================   日本は韓国を羨む必要はない                                                         =============================================================  10月12日(現地時間)、米韓自由貿易協定(FTA)が米国上下 院で可決された。  これを報じる10月15日の日本のメディアは、これで日本は遅れを とる、だからTPPに参加しなければならない、と大騒ぎをした。  その論調は今も続いている。  18日の読売は「TPPで空洞化に歯止め」という見出しで米倉弘昌 経団連会長の言葉を報じ、同じ日の東京新聞は「競争力で危機感、焦り」 という見出しで、もっと早く決断しておくべきだった、と書いている。  18日の朝日に至っては、「TPP、日本にプラス」という見出しを 掲げ、あたかも17日に開かれた野田首相の内閣記者会見で、野田首相 が参加を決断したごとく報じている。  TPP推進包囲網のごとくだ。  ここまで書かれれば何も知らない国民は、そうなのかと思ってしまう。  おまけに13日にワシントンで行われたオバマ大統領と李明博大統領 の首脳会談を報じる日本のメディアは、「米韓同盟 新たな章」(10月 15日読売)、「米韓新時代 焦る日本」(10月15日産経)などと いう見出しをつけて羨ましがっていた。  しかし少しばかり気をつけて報道を眺めると、米韓FTAの実態は決し てそんなものではない。  韓国が苦労するのはこれからだ。日本はそんな韓国を羨ましく思う必要 はないのだ。  10月17日の毎日新聞に、ソウル発西脇真一記者の記事で、「韓国  対米FTAで攻防」と題する次のような記事があった。  すなわち、米韓FTAは、ブッシュ前政権とノムヒョン前政権時代の 06年に交渉が始まり、07年には両国政府は合意、調印までしていた。 ところが米側は国内自動車産業などの反発を受けて追加協議を要求し、 昨年12月に李明博政権の下で決着した、と。  つまり韓国は押し切られたのだ。  だからこそ韓国最大野党の民主党は、次のように今度は韓国側のほう から再協議を要求している。  「満足するまで死に物狂いで反対し、再協議を求めた米議会のように、 我々もまた最後まで対策を講じなければならない」、と。  ソウル市内では反対集会が続き、その中の一人は、「そもそも、互いが 勝つなんてありえない」と話している、と。  このような韓国の立場を、日本のTPP参加に反対する識者の一人で ある中野剛志准教授(経済通産省官僚、京大大学院に出向中)は、10月 15日の東京新聞紙上で次のよう喝破していた。  「米 関税などを撤廃するかわりに、韓国は安全規制と排ガス規制を緩和した (させられた)」、と。  農業分野での韓国の犠牲は言うまでもないだろう。  米韓FTAは決して米国議会が承認したからと言って、ただちにそれが 実施されるわけではないのである。これを批准するかどうかでこれから 韓国内部での政争が始まるのである。  日本はその議論を眺めて、参考にしてからでも遅くはないのだ。  米韓同盟の深化に至っては、韓国側の負担はもっと深刻だ。  韓国には日本のような憲法9条はない。  だから米韓同盟が深化すれば文字通り米国の戦争にともに戦うことを 迫られる。  朝鮮動乱の二の舞の危険がある。冷戦の結果肉親が引き裂かれて闘っ たあの悲劇に再び直面させられる危険が高まるのだ。  日本は韓国を羨む必要はどこにもない。  憲法9条のありがたみを再認識し、米国の本性を冷静に見極められる 絶好の機会と捉えるべきである。                         了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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