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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

九電やらせ問題がどう終わるかでこの国の脱原発の方向が決まる
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月18日第733号 ■     =============================================================   九電やらせ問題がどう終わるかでこの国の脱原発の方向が決まる                                                         =============================================================  私は10月15日のメルマガ第723号で、眞部利応(まなべとしお) 九州電力社長(66)はドジを踏んだと書いた。  みずからがつくった第三者委員会の報告書の内容を無視した責任回避 の報告書を臆面もなく政府に提出したからだ。  いったん口にした辞意を恥じることなく翻して続投を表明したからだ。  そして、眞部社長をここまで増長させたのは、福島原発直後にあれほど 吹き荒れいた脱原発の気運が、ものの見事に政府・東電・財界の反転攻勢 で抑え込まれようとしている事の裏返しだ、と書いた。  その後の事態の展開が見事にこれを裏づけてくれた。  この眞部社長の「ドジ」が単なる眞部社長の辞任や報告書の書き換えと いう「ドジ」で蓋をされるのか、それとも消えかかっていた脱原発の気運 が再燃し、今度こそ本物の脱原発に発展していく歴史的な「ドジ」となる のか。  それはこの問題の今後の進展にかかっている。  世論の反発にかかっている。  その世論の反発に押されてメディアが大きく取り上げていくかにかか っている。  おもしろくなってきた。その見所を書いてみる。  ひとつは枝野経済産業大臣の出方だ。  そもそもこの問題は枝野大臣がシンガポールで拳を振り上げなかったら ここまでの問題にならなかった。果たして枝野大臣は振り上げた拳をどこ に落とすつもりか。  眞部社長のクビひとつ取れなければ枝野大臣の政治生命は終わりだ。  だから眞部社長の辞任は必至であり、報告書の書き直しも当然だろう。  しかし、それに満足し、枝野大臣の手柄に終わっておしまいでは脱原発 はお終いだ。  おそらくそうなるだろう。それが枝野大臣の限界である。  しかし、もう一つの見所がある。それは古川県知事の辞任にまで発展 するかどうかである。  これは九電の報告書の書き直しにも関係してくる。  そもそも書き直しの「キモ」は古川知事の責任に言及はずしであった。  つまり眞部社長は古川知事を守ったのだ。  今朝(10月18日)のテレビでみのもんたが、知ってか知らずか、 古川知事にまで飛び火しそうになってきた、などと言っていたが、そう ではない。  郷原第三者委員会の調査結果のミソは古川知事の責任を明らかにした ところであった。それを意図的にネグったのが九電社長の最終報告書で あった。  はじめから九州電力やらせ問題の本丸は古川知事だったのだ。  そしてこの本丸を逃がさない、と狼煙をあげたのが郷原信郎第三者 委員会長であった。  17日、佐賀県議会の原子力安全対策等特別委員会に招致された郷原 氏は古川知事が、「(ヤラセにかかわる)私の発言が表に出たら辞任は 避けられない」と認識していたことを明らかにした。  郷原弁護士は、小沢問題で当初より検察、裁判所の不正義をメディア で言い続けるなど、名うての反骨元検察官僚である。  この郷原証言は超ど級の衝撃的な証言だ。  辞任を自ら口にしたら終わりであることは人事の常識だ。あの菅首相 でさえ辞めざるをえなかった。  果たして九電ヤラセ問題は古川知事辞任にまで発展するのだろうか。  こと原発問題に限っては、そうならないと私は思っている。  これから書くことがこのメルマガの趣旨である。  長くなるので要点を書くにとどめるがその意図するところを汲み取っ てお読みいただきたい。  10月18日の東京新聞が中部電力が5自治体に26億円の交付金を 支払っていたと報じている。  これは国が自治体に配る交付金と同じような効果を果たしている。  つまり国策企業として国民から集めた電気料金で莫大な利益をあげる 電力会社は、国の肩代わりをしてその金を配り、地方自治体を牛耳って いるのだ。  10月18日の読売新聞は一面トップで東電が1兆円の支援要請を国 に申請する方針を固めたと報じていた。  事故の賠償金支払いが膨らみ、このままでは債務超過で倒産必至だ。  しかし東電は倒産しない。国は財政支援を行なう。  それは東電が倒産したらこの国の経済がもたないからだ。  東電の株を保有している企業、個人が倒れるからだ。  これを要するに電力各社は地方自治体と同じなのだ。  電力会社は国家なのだ。  だから古川知事を辞めさせるわけにはいかない。古川知事が辞めれば 同様の知事が続出する。  脱原発のストップ役が全国から消える。  これを要するに脱原発を求めることは国家を相手に闘うということ なのである。  だから大手メディアも九電問題をこれ以上騒ぎ立てないだろう。  九電問題はやがて収束させられるだろう。  眞部社長の「ドジ」はそこまでの意味を持つ「ドジ」なのである。                               了                                          ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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