□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月29日発行 第372号 ■ =============================================================== 菅政権の最も深刻な罪は米国の占領を加速させたことである =============================================================== 菅首相が思いつき発言を繰り返すのは確かに無責任だ。 それでも菅首相は首相である。その権限で有言実行をすればいい。 しかし首相が無責任だからと言って、部下の閣僚や官僚たちがその 真似をして好き放題しては大変なことになる。 そう思わせる報道がたて続けに見られた。 いずれも安全保障政策の根幹にかかわる政策に関してである。憲法 9条を正面から否定するような動きである。 北沢防衛大臣は在日米国大使館の安全保障政策担当官を防衛省の米軍 再編担当参事官(課長級)に就任させる人事を固めたという(5月28 日朝日)。 すでに自衛隊の中には米軍が常駐して自衛隊を指揮命令している。 ついに安保政策決定の中枢に米国政府が常駐するということだ。 そのちょっと前には原発対策のために官邸に米国人を常駐させたと 報じられた事があった。なし崩し的な米国占領の常態化である。 自衛隊は6月1日からジブチに初の海外駐留基地を開設するという (5月29日読売)。 これは自衛隊の恒常的海外活動を認めることだ。自衛隊海外派遣恒久 法の成立が議論の的になっているというのに、政策がそれに先行すると いう事だ。集団的自衛権行使の事実上の解禁だ。憲法9条違反に直結 する重大決定だ。 数日前には、米政府と共同開発中の次世代迎撃ミサイルの第三国輸出 を認める方針を防衛省が固め、6月3日にも北沢防衛相がゲーツ国防 長官との会談で伝えるという(5月25日読売)。 これら一連の報道は防衛省の独走を意味しているのではないか。 菅首相が思いつきでどんどんと政策を決めていくから、我々もそれに ならうという悪乗りではないのか。 もし菅首相が、正当な閣議決定なくして北沢防衛相と二人だけでこの 独走を認めているのであれば事態はもっと深刻だ。 一事が万事である。菅政権の混乱は、もはやこの国の政策決定機能を ここまで崩壊させてしまった。 その深刻性を指摘する報道は皆無である。 了
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