□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月23日発行 第353号 ■ =============================================================== 米国の核実験に本気で怒らない日本 =============================================================== 原発事故で放射能の恐ろしさを世界が体験している最中に 米国が核実験を行なった。これは物凄いニュースだ。 これが米国の正体なのである。 平和国家日本とはおよそ対極の位置にある国だ。 ところが菅首相は一言もこの事について発言していない。 それどころか反核を訴える護憲政党からも批判の声が聞こえない。 私の見落としかもしれないが、少なくともそれが伝わってこない。 おきまりのように広島、長崎の市長が取材に応えて批判めいたこと を述べているだけだ。 しかし、その内容があまりにもとぼけている。 「(核兵器廃絶への)切なる願いに対し、誤解を生むような行動は 謹んでほしい」(松井一実広島市長)。 「実験がどういう意味を持つのかまだわからないが、新しい核兵器 開発につながるのであれば容認できない」(田上富久長崎市長)。 冗談じゃない。 誤解を生む余地はない。明確な核兵器廃絶への挑戦だ。あたらな 核兵器開発なのだ。 日本と言う国がここまで情けない国に成り果てたのは、戦後の生き様 がすべて事なかれ主義できたからだ。 事なかれ主義といえば聞こえがいいが、それはごまかしなのだ。 反核の立場を取るなら、なぜ体を震わせて怒りをぶつけないのか。 核抑止力に賛成するのであれば、なぜ田母神氏のように日本も核兵器 を持つべしと言わないのか。 本心を決して明らかにしないこの国の指導者の卑怯さと、それを非難 しないメディア。世の中とはそんなものだとあきらめる無関心な国民。 震災復興も原発事故の解決も出来ない首相に不満を募らせながら、辞め ろと迫らないメディア。すべてをあきらめる国民。 米国の核実験に無反応であることと見事に軌を一にしている。 了
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