□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月20日発行 第348号 ■ =============================================================== 原発事故の検証によって菅政権の驚くべき対米従属ぶりがわかるだろう =============================================================== 私は4月22日の毎日新聞の「検証 大震災」の記事を引用し、 その日のメルマガ第291号で3月17日に行なわれた自衛隊の ヘリコプターによる放水が、米国に対するパフォーマンスであった 事を書いた。 それから4週間ほどたった5月15日の朝日新聞が、まったく 同じような検証記事を掲載していたことを、果たしてどれだけの 国民が気づいていただろう。 朝日は要旨こう書いていた。 ・・・「いま、ヘリが放水しました」、3月17日午前10時 22分、菅首相は首相官邸からオバマ米大統領にこう切り出した。 少しうつむき加減だったという。首相は「警察、自衛隊も含め、 全組織を動員して全力で対応しています」と続けた。首相がわざ わざ米大統領に「現状報告」したことは、会談内容を記者団に説明 する際には伏せられた。 菅政権はヘリ放水の冷却効果は「ほとんどない」(防衛省幹部) とわかっていた。それでも踏み切ったのは「オバマ大統領との電話 会談までに「日本は本気だ」と示す必要があったからだと複数の政府 関係者が認めている。 放水の数日前、「米政府首脳」のこんな発言が秘密裏に首相官邸に 報告された。「日本政府がこのまま原発事故の対応策をとらずにいる なら、米国人を強制退避させる可能性がある」。首相官邸や外務省は 動揺した。実際、米海軍幹部は防衛省幹部に「8万人の米軍人らの 退避計画をつくらないといけない」と伝えていた・・・ もはやこれ以上書く必要はないだろう。4月22日の毎日新聞の 記事は、今度の朝日の検証記事によっても確認されたのだ。 それだけではない。当時毎日新聞が書かなかったことも書かれて いる。放水ヘリは単なるパフォーマンスだけではなかった。米国人が 強制退避されたら政権は持たない、ましてや在日米軍の撤退だけは させてはいけない、という切羽詰った末の対米アピールだったのだ。 そこには、国民の生命と安全を真っ先に考えるべきに日本の首相の 姿はない。 私が言いたいことはそれだけではない。このような情報は、メディア は当時から知っていたに違いないということだ。 あの時テレビはヘリ放水を大々的に放映していた。効果がない事は誰 の目にも明らかであったのにNHKをはじめとしてなぜあれほど大袈裟 に報道したのか。すべて政府の意向を汲んで対米対策に協力していた のだ。 これからも原発事故対策についての検証が断片的に見られるであろう。 しかし菅政権がとどまっている間は菅政権を倒すわけにはいかない。 いきおいその検証記事も自主規制される。 本当の検証は菅政権が終わった後で行われる。そのとき我々は菅政権 の驚くべき対米従属振りを知る事になるだろう。 了
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