□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月16日発行 第340号 ■ =============================================================== 普天間問題の裏切り者たち =============================================================== 今日(5月16日)発売の週刊ポストに「ウィキリークスが暴いた 普天間問題の裏切り者」という特集記事がある。 これは見逃せない記事だ。 この国の政治家、官僚、大手メディアがスクラムを組んで、沖縄 県民はもとより日本国民を裏切っていたことを、ウィキリークスが 暴露した米外交公電をもとに明らかにしている。 やっとはじめてウィキイリークスの価値を見せてくれた報道を目に した思いだ。 この週刊ポストの記事の特徴は、単にウィリークスの情報を書いて いるだけではない。 これまで同誌が書いてきた事を引用しながらウィキリークスの情報 がそれを裏付けてくれたと解説している。だから読者に訴えるものが ある。わかりやすい。 もう一つはこの国の支配者たちの売国奴振りを名指しで徹底的に 糾弾しているところだ。 実際のところウィキリークスが告発した日本外交の実態を少しでも 注意して読んだ者であれば、あきれ果てるほどの彼らの対米従属ぶり に怒りを通り越して悲しくなるはずである。 単にそれを読み過ごして終わらせては何も変わらない。 国会で証人喚問させたり、人事で責任を取らせるなどしてけじめを つけなければまた同じことが繰り返される。 週刊ポストの記事を読めば誰もがそう思うだろう。 私がここで言いたいことは週刊ポストと朝日新聞の違いである。 朝日新聞はウィキリークスの情報を独占して3ヶ月かけて検証し ながらわずか一日(5月4日)のスクープ報道でお茶をにごした。 たしかに政府や官僚の言動を批判はしたが、その記事からは怒りは 伝わってこない。 しかし週刊ポストのこの記事は違う。過去の報道と照らし合わせて 検証したウィキリークスの情報を読むと、当時推測でしか判断できな かったことがらが、つぎつぎともつれた糸を解きほぐすように明らかに なる。 だから騙されていた、となって怒りが倍増するのだ。彼らの売国奴 ぶりがいや増し、強い怒りが湧いてくるのだ。 本来ならば朝日新聞こそこのような記事を、真っ先に書く立場に あったのだ。 この日米交渉に携わっていた外務官僚が、あるものは駐米大使になり、 またあるものは次官に上り詰める。 それを政治はそのまま追認し、許してしまう。大手メディアがそれを 無批判に報道する。 こうして日本の対米外交が繰り返されていく。 対米従属外交から抜け出せない理由がそこにある。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)