□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月13日発行 第334号 ■ =============================================================== メアを官邸に呼んだのは前田匡史内閣官房参与だった =============================================================== 米議会重鎮が提言した普天間見直し案を各紙がどのように報じるか、 それを真っ先に私は読み比べた。 そして、この提言は菅民主党政権にとっての最大の問題として浮上 するに違いないと確信した。 どの新聞も、日米両政府は難しい局面に立たされる、と書いている。 そうではない。米国にとっては、グアム移転が多少遅れても、現状 維持を保てばいいだけの話だが、日本にとっては難しいどころの話で はない。日米同盟の根幹を揺るがす問題になりかねない、それほど大 きい難問となるのである。 米国議会はもはやグアム移転に関する予算をつけるつもりはない。 オバマ政権は議会と対立してまでグアム移転に固執することはない。 しかしだからといって米国が普天間現状維持や嘉手納統合を安易に 考えるのであれば大きな読み間違えをする事になる。 沖縄住民の反発次第では沖縄から米軍基地を縮小・撤退せざるを得 ない事態にまで発展する可能性が出てくる。 それは菅民主党政権の命取りになる。だからといって沖縄に負担を 押し付けようとすれば、もっと菅民主党政権の命取りになる。 今日の各紙の報道の裏にある「難問」はそういう事なのだ。 しかし私が今日の新聞で最も驚いたのは毎日新聞の記事だ。 メア前米国務省日本部長が官邸を訪れた事実を昨日の毎日新聞が スクープした。 それを知った私は、ここまで沖縄を軽視する政権を知らないと憤 った。官邸の誰がメアを呼び込んだのだ、と書いた。 そして今日の毎日新聞は、その面談相手が前田匡史内閣官房参与だっ たことを枝野官房長官が12日の記者会見で明らかにしたことを報じた。 誤解を招くから慎重に行動していただきたいと苦言を呈したと、枝野 官房長官は釈明したという。 対米関係に関する菅民主党政権の無能振りをさらけ出したような ものだ。 私はかねてから前田匡史という人物に注目すべきと書いてきた。 たかが国際協力銀行(旧輸出入銀行)の部長でしかない彼が、いつのま にか内閣官房参与となって新幹線や原発の海外売り込み、さらには沖縄 海兵隊のグアム移転経費まで取り仕切る。 米国の手先のような言動をして憚らない。 それを許す菅民主党政権には対米外交についての政治主導は微塵も 感じられない。 国民にとって危険極まりない対米外交に弱い政権ということである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)