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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 オサマ・ビン・ラデン暗殺ニュースの正しい見方
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月5日発行 第318号 ■     ===============================================================    オサマ・ビン・ラデン暗殺ニュースの正しい見方  ===============================================================  読者の中から今度のオサマ・ビン・ラデンの暗殺についてどう思う かという問い合わせが寄せられる。私の見方はこうだ。  暗殺の真偽については詮索する意味も必要性もない。私はこれは 米国の自作自演と思って切り捨てている。  それはオサマ・ビン・ラデン暗殺が嘘だという事では必ずしもない。 私はオサマ・ビン・ラデンはとっくの昔に死んでいたと思うが、たと え生き延びて今回殺されたとしても、それを確認する術は我々にはない。  あの9・11と同様に、真実を知っているのは米国だけだ。そうだ とすれば米国の言う事をすべて疑ってかかればよい、それだけだ。  実際のところ9・11と同様に報道されていることは不自然なこと ばかりだ。たとえば武器を持って抵抗したから殺したといっていたのが 一夜にして丸腰だったと訂正している。残酷な顔写真を公表すればテロ リストを刺激するといって公開しないと言う。話にならない。  だからといって9・11と同じようにこれはやらせだと声高に叫ぶの もまた無意味だ。  要するに情報のない我々は、米国の言っていることはすべて裏がある、 計算がある、そう思ってオサマ・ビン・ラデンの暗殺の報道を眉につばを つけてみていればいいだけの話だ。  しかし、暗殺の真偽よりもっと重要な事がいくつかある。こちらのほう が重要である。  一つはオサマ・ビン・ラデンの暗殺は、米国が自画自賛するような 米国の勝利では決してない、ということだ。それどころか米国はテロ との戦いに敗れて引き下がらざるを得ない状況に追い込まれていた。 テロとの戦いがますます混迷する一方で予算がなくなって国は破綻状態 だ。かといって負けて引き下がることは出来ない。早い時点でオバマは 勝利宣言をする必要があったということだ。  すべてのアラブ人がテロ支援者ではない。それどころかテロにうんざり して今度のオサマ・ビン・ラデン暗殺にも冷淡な者が増えつつある事は 事実だろう。しかし報復を叫ぶ反米、反アラブ強硬論者はなくならない。 米国のテロとの戦いは終わらない。彼らが一人でもいる限り、オサマ・ ビン・ラデンが死のうが生きていようが、米国が間違った中東政策を改め ない限りテロとの戦いは終わらないのだ。  二つは、それが現実であるのに、「テロ対策の顕著な前進を歓迎する」 との談話を即座に発表した菅直人首相の対米従属振りの愚かさである。 これは小泉首相のイラク攻撃歓迎と瓜二つである。もっとも小泉首相は それによってブッシュに気に入られてゴマすりの効果があったが、菅 首相の場合は訪米もさせてもらえないほど相手にされていない。ゴマを する甲斐もないだけ悲惨だ。  三つ目は今回のオバマの決断が、あの時のブッシュの決断と同じよう に国際法違反だったということだ。この点については最上敏樹早稲田 大学教授が5月4日の朝日と5月5日の毎日で見事に指摘している。 これまでに採択された国連安保理決議はビン・ラデンを「裁判にかける ため引き渡す」よう求めており、米国の今回の行為が国連決議を無視した ことは明らかだ、と。米国はサダム・フセインは裁判にかけてイラクで 死刑にする「体裁」を曲がりなりにも整えたではないか、と。これは 国際法違反と批判されたグアンタナモのテロ容疑者虐待よりも重大な 国際法上問題であり、米国の刑事手続気から見ても違法であると。  最後に蛇足しておく。国連安保理決議を無視した今回の米国の暗殺を 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は真っ先に歓迎している。これは 国連決議を無視した米国のイラク攻撃を止められなかったアナン国連 事務総長よりも対米従属だ。アナン国連事務総長は後で米国を批判して いる。米国のおかげで国連事務総長にさせてもらった潘基文(パン・ ギムン)国連事務総長は、再選を狙ってますます米国従属に成り下がって いくだろう。  日本といい、韓国といい、米国との軍事同盟を重視するアジアの指導者 は、世界に恥をさらしているということだ。これが日米韓同盟の現実で ある。                          了                                          

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