□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月4日発行 第317号 ■ =============================================================== 日米粉飾外交の上に炸裂したウィキリークス爆弾 =============================================================== ついにこの日が来た。私はこの日を待ち焦がれていた。 5月4日の朝日新聞が一面トップでウィキリークスが流した 在日米国大使館発ワシントン宛公電をスクープ報道した。 そこには在沖縄海兵隊のグアム移転経費が粉飾されていたこと をはじめとしてこの国の自民党、民主党の政治家と官僚たちが国民 の血税を米国に貢いでいた動かぬ証拠がこれでもかと明かされている。 もはや5月7日の北沢防衛大臣の沖縄訪問は中止せざるを得なく なるだろう。さもなければ怒号の嵐が沸き起こる。 もちろん菅首相の訪米などはあり得ない。ついに戦後66年続いた 日米外交が破綻したのだ。外務省はもはや今まで通りの形で存続する ことはできなくなるだろう。 私は5月3日の憲法記念日の集会に招かれて北九州市を訪れていた。 私が5月3日と4日に配信したメルマガは2日の夜に書いたものを予約 配信したものだった。 そして今朝北九州市のホテルの近くのコンビで朝刊一通り買って読ん でいたら真っ先にこの朝日のスクープが目に入った。 私は携帯コンピューターを持ち歩かないので、帰宅して早速このメル マガを書いて配信したところだ。 このウィキリークスの告発については、その持つ意味があまりにも 大きいので、これからもその反響の広がり従って私の意見を書いていく 事になるが、とりあえず今の時点における私の注目点を次のように述べ てみたい。 その一つは日本のメディアが受ける衝撃である。 これだけ大きなスクープであるのに今のところどのメディアも報じて いない。それは朝日だけがウィキリークスから公電を入手する光栄を 浴したからだ。それゆえに他のメディアは論評できないのだ。 しかしそれは朝日が偉いのではない。偉いのは告発サイトである ウィキリークスとそのサイトに命がけで告発した情報提供者である。 だから朝日は彼らに感謝し、その情報を日本国民に対してジャーナリ ズムのすべてを賭けて提供しなければならない。 しかし朝日の仕事は私からしてみれば不十分だ。今年1月に提供を受 けた6963本の日本関係の米公電を3ヶ月かけて分析したという。 それにしてはその分析は不十分だ。何よりも日本政府への追及が甘い。 かくなる上は、朝日はその公電をウィキリークスの許可を得てすべて の日本のメディア、とりわけ沖縄のメディアに公開すべきだ。いやメデ ィアにとどめてはいけない。日本国民に公開すべきだ。この日本には 朝日の記者よりもはるかに優秀な在野の政治学者、歴史学者、日米関係 研究者がいる。 彼らがその公電を読めば、もっともっと衝撃的な事実が見つかるは ずだ。なによりも日本政府の売国ぶりが、もはや犯罪として立証できる ほどの検証ができるに違いない。 繰り返して言う。ウィキリークスの日本関係の公電を朝日が独占して 終わらせてはいけない。朝日の解説でけで終わらせてはいけない。生の 情報を日本国民全員が目にして評価を下すべきなのだ。 二つ目は、もしグアム移転の経費が粉飾され、不必要な経費までが 日米合意にされていたとしたら、れっきとした公金横領である。日本 国民の納めた税金の詐取である。それを受け取ろうとした米国政府を 日本国民は訴えなければならない。もし日本政府がそれを唆したので あれば日本政府が背任罪を国民に対しておかしたということだ。 三つ目は菅政権は責任をとって内閣総辞職しなければならないという ことだ。グアム移転のロードマップを合意したのは2006年春の小泉 政権末期だから、もちろん小泉首相と自民党政権の責任である。しかし 民主党政権はそれを引き継いだ。そしてそれを知りながら合意を強行し ようとした菅民主党政権はさらに重い責任を負うことは明白だ。 四つ目は共産党、社民党の責任追及力とその覚悟が問われる。いまや この権力犯罪を追及できるのは共産党と社民党しかない。それが出来な ければ護憲政党としての存在意義はない。特に社民党は今度の米国の公電 で民主党や米国に敵視されていることが明らかになった。民主党に裏切ら れていたことが明らかになった。立ち上がらないわけにはいかない だろう。 日本の政局は大震災どころではなくなったと思う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)