□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月4日発行 第316号 ■ =============================================================== ニューヨークタイムズ東京支局長の日本メディア批判 =============================================================== 月刊情報誌の「選択」5月号と「エルネオス」5月号が、奇しくも 同じようにマーティン・ファクラー米ニューヨークタイムズ紙東京 支局長へのインタビュー記事を掲載していた。 そこで共通のテーマとされている話題は、わが国の大手メディアに よる「震災報道」の特異性、劣化ぶりである。 彼は言う。自分から進んでネタを探して報道する精神がほとんど ない。少なくとも政府当局側と対峙して国民側について報道する姿勢 が感じられないと。大マスコミになればなるほど、その傾向は強い と(選択)。 日本新聞協会が出す賞を見れば象徴的だ。賞をもらう人はスクープ するのではなく、与えられる人だ。記者が記者クラブの席に座り、 情報源とお酒を飲みに行き、時間が経つにつれ仲良くなる。それで スクープをもらい賞になると(選択)。 日本の大手メディアの問題は、メディア自体がエリート層の一部に なっているから、政府と敵対関係になれない社会だと(選択)。 彼はまた震災報道の裏にある日米関係の実態を次のように告白する。 アメリカは正確な情報を持っていた。大きなメルトダウンが起これ ば西海岸も危ないから協力を申し入れたが日本政府は自分たちがやる と受け入れなかった。ワシントンが怒って日本へ人間を送り込んだ。 アメリカは(その情報を日本のメディアに流すことはできたが)日本 の主権を尊重するから裏切ることはできなかったと(エルネオス)。 そしてファクラー氏は、このような日本のメディアを許す日本国民の 責任をも追及する。 日本では、政府と官僚がお母さんで、国民である子供たちを世話して やっていると考えている。権力が国民の側にあるという概念さえない 官尊民卑がいまだに続いているのですと。みんな国に頼りながら国を 信用していない、と(エルネオス)。 極めつけは、私が「もう一つの日本」で指摘した事が彼の口から見事 に指摘されていることだ。 政治家、官僚、東電(財界)、マスコミ、誰も国民の側に立って いない。それは原発だけじゃない・・・アメリカでこういう事(情報 隠し)が起きするたら現政権を倒して新しい政権をつくる・・・ こういう時こそ野党は国民の側に立つべきだがそうなっていない・・ ・民主主義そのものが機能していない感じだ・・・(エルネオス)。 なぜこの事を語るメディアが出てこないのか。外国人記者の口を借り てしか真実が語れない現実こそ深刻であると思う 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)