□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月29日発行 第308号 ■ =============================================================== 原発反対の声が国民の間に広がらない理由がわかったような気がする =============================================================== 福島原発事故をきっかけにこれほどまでに原発政策の矛盾が 報じられ、放射能汚染の非人間性が報じられているというのに、 脱原発の声が一般国民の間に拡がらない。 ひょっとしたら、安全策の見直しや補償問題の対応でお茶を濁 したまま、この国の原子力政策は何も変わらずに終わってしまう のかもしれないと思うようになった。 なぜだろうと考えていたのだが、その理由がわかったような気 がする。 共産党の議員が原発の危険性について警鐘を鳴らしてきたのは 自分達だけだ、と国会で追及する(4月26日読売)。 脱原発を訴えた保坂展人前社民党衆院議員が世田谷区長に当選 したことを受け、福島社民党党首が脱原発は時代の流れだと訴える。 阿部知子政審会長が脱原発はイデオロギーじゃなく現実」だと沸き 立つ(4月26日朝日)。 週刊金曜日は毎週のように原発特集を組んで原発政策の欺瞞 を暴く。 それらはもっともな言動だ。 しかし、彼らが声を上げれば上げるほど、原発に懐疑を抱き始 めた一般国民が引いてしまうような気がする。 これと同じような光景をどこかで見たような気がする。 そうだ。平和の問題がそうだ。平和が大切なことは誰も異論は ないのに、いわゆる左翼政党や左翼主義者が大上段に構えてそれを 訴えれば訴えるほど一般国民は離れていく。 今度の原発事故をきっかけに、これまで原発政策を当たり前のよう に受け止めていた著名人や、さらには原発政策を推進すら唱えていた 人たちが、その誤りに気づいて脱原発を言い始めた。 彼らこそもっと活躍すべきなのだ。彼らのような人たちがもっと もっと増えていかなければならないのだ。 そういう動きがどうやって拡がっていくのか。それはもちろん私 にはわからないが、少なくとも脱原発を声高に唱えるだけでは拡がら ない。 脱原発を唱えることが自己目的であってはならない。重要な事は脱 原発の社会を実現していくことである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)