□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月20日発行 第287号 ■ =============================================================== 中国船長「起訴相当」議決を報じない大手メディア =============================================================== 昨日のメルマガ第283号で私は那覇検察審査会の中国船長 「起訴相当」議決を報じる読売新聞のスクープについて書いた。 さっそく中国が19日の定例会見で「起訴相当」議決は「非 合法で無効」であると反論した(北京 時事)。 それほど重要な議決であるということだ。 しかしなぜか大手新聞はそれを報じない。 中国の反応を伝える時事の配信を記事にしたのは産経だけだ。 そして読売新聞のスクープを後追いして大きく報じたのも産経 だけだ。 対中強硬論の産経新聞が菅民主党政権の対中弱腰外交批判の 観点からこの議決を取り上げる事は分かる。 それは、小沢一郎を強制起訴に追い込んだ検察審査会の妥当性を 疑う観点から今度の議決に注目する私の立場とは、視点が異なる。 それにもかかわらず、検察審査会の今回の議決の重要性について 私と問題意識を共有するのは産経新聞だけだ。 なぜ今回の議決が重要な意味を持つのか。 それは「起訴相当」議決が国民を代表する者たちの判断とされて いるからだ。 国民の代表者の判断が国家権力(検察)の判断を上回る、そういう 制度を作ってしまったからだ。 その結果小沢一郎は起訴された。 そうであれば中国船長も起訴せざるを得ない。 それがおかしいのであれば小沢一郎の起訴もおかしい事になる。 中国がこの議決を「非合法で無効」だ一蹴したのは、日本国民の 判断が間違っている、受け入れない、と言ったという事だ。 検察審査会制度を無視するということだ。 いずれにしても日本政府として看過できない中国政府の対応だ。 なぜこれほど大きな意味をもつ那覇検察審査会の議決が大きく報じ られないのか。 その理由は、これを大きく報じると菅民主党政権は追い込まれる事 になるからだ。 こう考えると、菅民主党政権に一番厳しい論調を繰り返している産経 新聞だけが大きく報じる理由がわかる。 菅民主党政権に対して厳しい批判を繰り返している点についても 私と産経は一致している。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)