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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「企業にも魂と理想がある」と言って「脱原発」を打ち出した城南信金に乾杯
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月19日発行 第284号 ■     ===============================================================   「企業にも魂と理想がある」と言って「脱原発」を打ち出した城南信金に乾杯  ===============================================================  今週発売された週刊誌の記事には特筆すべき二つの記事が あった。  いずれも重要な記事であるにもかかわらず大手新聞やテレビ は報じない。  週刊記事と大手メディアの報道姿勢の違い、あるいはひょっと したら報道の使い分けかもしれないが、その好例を二つ紹介する。  一つは週刊朝日の「脱原発宣言を掲げた城南信金」という記事だ。  城南信用金庫(東京都品川区)が公式ホームページで「原発に 頼らない安心できる社会へ」と題した方針を打ち出したのは4月 1日のことである。  いくら金融界の異端児(註:城南信金はこれまで国内の金融機関 ではじめて不良債権を開示したり、懸賞金つき定期預金を発売した りして金融業のタブーに挑戦してきた)であるといっても信金業界 第二位の城南信金である。その城南信金が明確に脱原発を宣言した のだ。これをニュースにしない大手メディアは明らかに不自然だ。  そう思っていたらやっと4月19日の朝日新聞が、寺西和男記者 の記名入りで報じた。脱原発を訴え節電に積極的に取り組む事にした、 と。融資先にも「脱原発」を呼びかけ、省エネ設備の導入に必要な 融資には積極的に応じる、と。  それでも、城南信金が打ち出した「脱原発」宣言の衝撃に比べれ ば、その取り扱いはあまりにも小さい。自粛規制が働いていると感じ ざるをえない。  それにくらべ週刊朝日4月29日号の記事はジャーナリズムの 使命をよく果たしている。  「まさか東電と少なからず取引がある金融機関が露骨に声明文を 出すとは思いませんでした」(永田町関係者)、とその衝撃度を 伝え、4月1日に発出した声明文全文を掲載し、そしてその注目 部分を次のように強調している。  「原子力エネルギーは、私達に明るい未来を与えてくれるもの ではなく、一歩間違えば取り返しのつかない危険性をもっている (こと)・・・それを管理する政府機関も企業体も万全の体制を とっていなかったことが明確になりつつあります・・・原子力 エネルギーに依存することはあまりにも危険性が大きすぎること を学びました・・・」  明確な脱原発宣言だ。  そして極めつけは吉原毅理事長の次の言葉である。  「みんな同じ思いなんじゃないですか。ごく自然な行動ですよ。 信用金庫は地域を守るために生まれた。これまで反原発運動は一部 の人たちだけだと思っていたけど、自分たちが間違っていた・・・ 企業にも魂と理想があります。企業が『脱原発』を提案することで、 多くの人を喚起できる。それで、このメッセージを出したのです」  この言葉こそ、大手新聞やテレビが一斉に報じるべき言葉である。                             了

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