□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月17日発行 第278号 ■ =============================================================== 日米同盟の必要十分条件は、「あれも」、「これも」だ。 =============================================================== 4月17日の日経新聞に日米同盟の本質を見事に言い当てる記事 を見つけた。 「東日本大震災 複合危機と政治」と題する連載記事の第4回目 として、「日米同盟に手応え」と題して次のように書いていた。 ・・・今回の米国のトモダチ作戦は「対等な日米関係」を掲げた 鳩山政権下で冷え込んだ日米同盟関係を立て直す絶好の作戦だった。 外務省幹部は「かつてないほど日米の連携は強固になった」と言う・・ お決まりの文章だ。 このような文章を目にするために、そんなことで損なわれたり 修復されたりするような日米同盟とは一体何なのか、それほど日米 同盟は脆弱なのか、と思うのだが、私がこの日経新聞の記事で注目 したのは、その後に続く次の記述である。 ・・・だが、日米同盟をもう一段、深化させるには課題も残る。 普天間基地の移設問題に代表される米軍再編や、日米共同開発中の 次世代迎撃ミサイルの第三国供与、政府内での検討が中断している 集団的自衛権の問題などだ・・・善意だけでは語れないのが安全 保障だ・・・ 要するに、大震災被害に対する米国の支援を通じて、米国が日本を かけがいのないオトモダチと言ってみたり、北沢防衛大臣が「今回 ほど米国の優しさと力強さを感じたことがない」とエールを交換して みても、それだけでは十分ではないのだ。 米国の要求をすべて飲まなければ、何時までたっても日米同盟深化 のプロセスは終わらないのである。 私は「さらば日米同盟」(講談社)の中で、日米同盟の本質を 体験的に解説した。 すなわち、いくら他の分野で米国の要求を満たし、米国との関係を 良好なものに保つように努力しても、米国の軍事協力に対する要求を すべて満たさない限り、つねに日米同盟は不安定になる宿命にある、と。 つまり「あれか」、「これか」ではなく、「あれも」、「これも」 なのである。 日米同盟から自立する勇気を持たない限り、日本は真の幸福を手に することは出来ないのである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)