□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月17日発行 第277号 ■ =============================================================== 原発不安の批判をかわそうとG-20の場で奔走した日本政府 =============================================================== 私は昨日(4月16日)のメルマガ第274号で、報道の書き方 で読み手の印象が随分変わる、本当の事を知るためには記事の全貌 をよく読まないといけない、と書いた。 その一例としてワシントンで開かれているG-20(財務省・ 中央銀行総裁会議)の会議の模様について、各紙の書き方に差が ある。日本問題がどのように討議されるか、真実を見極めなければ ならない、と書いた。 G-20が終わって、その結果を4月17日の各紙が報じている。 最大の注目点は、最終日に採択されたG-20共同声明の中で、 震災に見舞われた日本が中東・北アフリカと並んで世界経済の不確実 性を増大させる要素であると指摘されたことである。 これは菅民主党政権にとっては極めて不名誉なことであるが、 それを大きく取り上げる大手新聞、テレビは見あたらない。 菅政権に厳しい記事を書き続けている産経新聞だけがそれを正面 から報じているだけだ。 しかし、私が注目したのは4月17日の東京新聞の記事の中の次の くだりである。 「・・・最大の注目が集まったのは原発事故の現状だった。共同声明 では当初、震災と原発事故が世界経済に与える影響について『下振れ リスク(悪化要因)』とする方向で調整が進んでいたが、まとめられた 声明は『不確実性』との表現となった。 関係者は『日本側の説明を受けて、表現に配慮が加えられた結果』 との見方を打ち明ける・・・」 G-20とは世界の経済の動向とそれに対する各国の経済政策が議論 される場である。 その会議で日本がどのような貢献をしたかは報じられていないが、 報じるまでもない。 日本の官僚たちにとっては日本批判を如何に封じ込めるかが会議の 唯一、最大の仕事だったのだ。 日本の代表団は共同声明の案文作りに終始奔走したということだ。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)