□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月16日発行 第274号 ■ =============================================================== 報道の仕方でこれだけ印象が変わる =============================================================== 観光庁が4月14日、2011年3月の訪日外国人旅行者数 を発表した。 ところがそれを報じる15日の大手新聞各紙の見出しは真っ 二つに分かれた。 すなわち朝日、日経、毎日が「半減」と書き、読売、東京 などは「73%減」と書いた。 いずれも観光庁が発表した同じ統計に基づいて書いているのに なぜこのような違いが出るのか。 それは三月全体の数字は前年同期比で50.3%減であるが、 大震災が起きた3月12日以降の数字で比較すると73%減で あるからだ。 すなわち同じ事実でも、どの点に着目するかで表現が変わるのだ。 訪日外国人観光客の数字については、いずれにしても大震災の 影響で大幅に減ったという程度のことだから大した話ではないが、 そうでない場合もある。 たとえばワシントンで開かれている主要20カ国財務相・中央 銀行総裁会議(G20)の報道だ。 それを報じる16日朝のテレビでは、各国が日本経済の復興に 期待し、日本に協力することで一致したなどと報じていた。 4月16日の読売新聞なども、「(震災や原発事故について) 日本社会が一体感を持って対応していることに対し、各国から評価 や激励の言葉をいただいた」という野田財務相の言葉を掲載し、 日本代表の説明努力を中心に書いている。 東京も「日本、復興への決意示す」という見出しをつけている。 ところが産経は「日本に厳しい視線」と書き、朝日も「G20 原発に警戒感」と書いている。 要するにテレビや各紙の報道から受ける印象がまるで異なる のである。 言い換えれば、メディアがその気になれば、嘘をつかない範囲 でかなりの情報操作ができるということだ。 私はもちろん世界が日本に向ける視線は厳しいものがあると受け 止めている。 日本の大震災を世界経済の足を引っ張るリスク要因にしてはならない。 それにしても、地震、津波については気の毒だが、原発事故の対応の まずさと情報隠しはとんでもない迷惑だ。 これが世界の主要国の率直な思いであると私は思っている。 日本の信用失墜は免れない。菅民主党政権の責任は重い。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)