□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月7日発行 第243号 ■ =============================================================== 防衛省が発表した中国レポートこそ風評被害をもたらすものだ =============================================================== 4月7日の各紙は防衛省が6日に発表した「中国安全保障 レポート」なるものについて書いていた。 これまでの年次報告書である「東アジア戦略概観2011」と は別に、中国に特化した報告書を出すのはこれが初めてであると いう。 しかし私がその記事で驚いたのは、この報告書の中には「海・ 空域で自衛隊と中国軍との間で『不測の事態』が発生する可能性 は否定できない」と書かれている部分がある、とされている 部分だ。 これはとんでもない記述である。 とんでもない報告書である。 不測の事態とは有事のことである。つまり軍事衝突だ。 しかし軍事衝突は、いくら中国が軍事力を強化してもそれだけ では軍事衝突は起こらない。 中国が軍事的攻撃を行なう意図がなければ起こらない。 一体中国は何のために中国は日本を攻撃するのか。それが 報告書に書かれているとでもいうのか。 しかも、たとえ中国に軍事的攻撃の意図があったとしても、 それだけでは軍事的衝突は起こらない。日本にその意思が なければ軍事的衝突は起こらない。 日本にその意思があるとでもいうのか。 これを要するに、「中国との諸問題は外交的努力を重ねて解決する」 と言う確固とした政策を日本が堅持する限り、日中間の軍事的衝突は 起こりえないことなのである。 偶発的にそれが起きたとすれば、それは外交の大失敗なのである。 物事が分かっている者にとっては、こんな記述をレポートに書いて 発表するような防衛官僚や自衛隊幹部の下心は、自分たちの存在意義を 強調し、省益を追求する事に余念がない、と一笑に付して終わりだ。 しかし外交・安保に詳しくない一般国民がこれを読むと、中国は恐ろ しい国だと思うだろう。 中国の日本攻撃に備えて守りを強化しなくてはならないと思うだろう。 とんでもない風評被害を招くレポートだ。 こんなレポートを了承したとしたら菅首相は噴飯物だ。 もし菅首相がこれを知らなかったのなら大問題だ。 いまや防衛官僚の代弁者に成り下がった北沢防衛大臣の独走という ことになる。 了
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