□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月6日発行 第240号 ■ ================================================================ もう一つの日本をつくる(東北ルネッサンス構想)(4) ================================================================ 4月5日に福島原発事故の被害にあった地域の町長、村長8名 が日本記者クラブで会見を開いたという。 その記事が4月6日の東京新聞に大きく掲載されていた。 「(原発誘致という)国策協力推進したのに」、「複雑な思い かみしめ」、などという見出しが躍っていた。 その記事には8名の首長の言葉の要旨が一言でそれぞれ次の ように紹介されていた。 不明者捜査早く(浪江町長) 町民の体小さく(富岡町長) 元の町へ戻して(樽葉町長) 町民を帰らせて(大熊町長) 町は平穏だった(双葉町長) 放射線量調べて(広野町長) 先見えず悔しい(川内村長) 今後の生活不安(葛尾村長) そしてその発言内容を読んで思いを強くした。 震災後4週間もたつというのに、いまだこれらの町や村は復興の 兆しも見えない中で苦吟していることを。 国から見離されたままであるということを。 これらの町や村の責任者がいかに困難な状況に置かれているか ということを。 その上で私は思う。 もっと積極的に国に迫る事が出来ないものかと。 もっと激しく住民の不満の声を突きつけられないのかと。 もっと具体的に要求事項を並べて国にその実施を要求できない ものか、国が出来ないのなら自分たちに任せてくれといえない のかと。 私の「もう一つの日本をつくる」という考えの根底にあるのは 地方が国の施策を待つのではなく、国が出来ないなら自分達が行う。 だから予算と権限を移譲してくれというものである。 それは平時では無理かもしれない。 しかし今は非常時だ。 すべての地方がそれを要求するのではない。人災である原発 被災地と被災民が要求するのだ。 国がその要求を拒めるはずがない。 非常時の、しかも原発被災地であるからこそ、それを要求する 権利があるはずだ。 「もう一つの日本をつくる」構想の成否の鍵を握るのは、地方の 住民とそれをまとめる地方の首長なのである。 彼らもまた試されている。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)