□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月6日発行 第241号 ■ ================================================================ 原発事故に対するドイツと日本の反応の違い ================================================================ 去る3月27日に行われたドイツ南西部バーデン・ビユルテン ベルグ州議会選挙で連立与党が敗北し、環境政党「緑の党」が躍進 した。 そのニュースを見て私が驚いたのは、翌日にメルケル首相が「福島 原発の大事故を巡る議論が敗因となったのは明らかだ」と述べたこと だ(3月29日朝日)。 それだけでも驚きであるのに、4月5日の東京新聞の記事を見て 更に驚いた。 ウェスターウェレ副首相が4月3日、福島原発事故が争点となって 大敗した州議会選挙の責任をとって、5月に予定されている与党・自由 民主党の党首選に立候補せず、党首を引退すると表明したというのだ。 ひるがえって日本はどうか。 福島原発事故を起こした張本人の国である。 ドイツや世界に迷惑をかけた国である。 原発事故の放射能流出を4週間もたった今も止められないで いる国である。 勝手に放射線汚水を海に放出して、隣国などから抗議されても、 国際法上問題ない、と外務大臣が強弁する国である。 原発事故の対応のまずさを散々指摘されても、それを逆手に とって復興は自分の手で行なうと権力に固執する首相を許す国 である。 なによりも唯一の被曝国にもかかわらず、このような深刻な原発 事故が起きても反原発の気運が起きない国である。 日本に寄せられた同情と賞賛はやがてあきれと怒りに変わる事 だろう。 試されているのはこの国の指導者だけではない。 日本国民もまた世界に試されているのである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)