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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

もう一つの日本をつくる(東北ルネッサンス構想)(1)  
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月1日発行 第223号 ■     ==================================================================    もう一つの日本をつくる(東北ルネッサンス構想)(1)          ==================================================================  大震災が起きてしばらく経ったとき、思いがけなく前イーホームズ 社長の藤田東吾氏から電話を受けた。  彼との連絡がとだえてもう2年以上もたっていた。  元気にしているか、という私の挨拶代わりの言葉に、彼は電話口で 答えた。  すべての財産を失っておまけに訴訟中の身であった。どん底に突き落 とされていた。  それらが決着して再出発をしようとしていた時の大震災であった。  そして原発事故に対する菅民主党政権の対応を見て、これは耐震偽装 事件の時と同じではないかと思ったという。  政府・官僚にまかせていてはすべてが隠蔽される。予算のばら撒き では本当の復興は望めない。自分の経験を生かして街づくりのために 何か出来ないかと思っている、という。  私は直感的に思った。藤田氏とともに私が漠然と考えていた「もう ひとつの日本づくりー東北ルネッサンスプロジェクト」を実行に移し てみよう、と。  そして3月31日に藤田氏と会って話し合った。  結論から先に言うと、二人の共著を緊急出版することで一致した。  4月中にも出したい。  大震災に関する出版物はこれから様々なものが出てくるであろう。 それに先駆けて最初に我々が本を出す、という事で一致した。  その中で呼びかけるのだ。  耐震偽装も原発事故もそして日米同盟も共通点は一致している。  本当の事が知らされない。政府の政策は決して国民を守らない。それ を正そうとすれば潰される。なんとかしなければいけないと皆が 思っているのに踏み出せない。  これは既存の権力構造の中では残念ながらどうしようもない現実だ。  しかし今度の大震災、原発事故は、そのような既存のシステムを叩き 壊した。  既存の政治家や官僚、すなわち既存の権力構造では被災民を救えない ことが判明した。  今度の本ではそれぞれが自分の体験に基づいて政府批判を行なう。  しかしいくら批判を繰り返してもむなしいことも指摘する。  ならば行動で証明しよう。我々が我々の手で廃墟になった福島の村を 立て直してみよう。  その構想を提示し、政府から予算を分捕り、世界に訴えて世界の共感 と支援を得る。  キーワードは自然との共生であり、若者であり、エコだ。  競争、経済成長至上主義の生き方に対する人間らしい生活の実現である。  もうひとつの日本づくりである。  そこにはウソはない。情報隠しはない。弱いもにじめはない。  競争、経済成長至上主義を否定するものではない。  それを信じ、それが出来るものは、大いにそれをやればいい。  しかし、そうではない生き方をしたいと願う者にもまた、対等の権利を 与え、もう一つの生き方を認め、予算を分配する。  当然の権利としてそれを我々は要求できる。  ベーシックインカムの思想にもつながる。  どちらの生き方が好ましいかは国民に選択させるべきだという 提案だ。  この事を、共鳴する首長と組んで三本の矢で既存の政治システム に挑戦する。  ここから先は読者と一緒に考えて行きたい。その本の肉付けは読者の 知恵を借りたい。  私はその首長候補に佐藤栄佐久前福島県知事をお願いしようと 思っている。  彼は反原発の首長だ。原発に反対して失脚させられたといわれている。  まさしく不死鳥のようによみがえって廃墟の福島を再生させるにふさ わしい人物だ。  復興プロジェクトで最初に取り組むのは原子力発電に変わるあたら しいエネルギーの開発である。  ここで専門家の助けが必要となる。  小さな村の住民が日常生活するに必要な電力はどれぐらいいるのか。 それをまかなう供給量を作り出すシステムは何か。  太陽光や風力などが作り出す電力ではとても足らないとすれば どのような電力源がありうるのか。  その技術を持っているものはどう探すのか。  どれくらいの設備投資が必要か。  これらを描ける専門家が必要になってくる。  延期されたが、地方統一選挙は必ず行なわれる。  その時、もう一つの日本を実現する熱意のある村長や町長を選出して そこから始める。  いわゆる新しい政治、政党の始まりだ。本物の地方自治だ。  それは新党憲法9条に変わるものとなってもいい。  新党共生。新党もうひとつの日本。そういう感じだ。  その首長は、佐藤前知事がどこかの市長、町長に立候補しても いいし、避難せずに頑張ると言っている飯舘村村長でもいい。  政府は増税やら特別国債で膨大な復興資金を用意し、復興庁を 作って復興を始める。  しかし彼らだけにその予算を使わせて、彼らだけで今まで通りの 官僚主導のバラまきを許してしまうと同じ道の繰り返しだ。  いくら復興庁を東北に置いても中央官庁が指揮をとるかぎり 変わらない。  官僚支配と利権優先の復興になる。  その予算の一部を、もう一つの日本づくりに回すのだ。それを実施 する首長にはそれを要求する正当な権利がある。  そして原発で廃墟を招いた責任のあるこの国の政治家、官僚には それを拒む権利はもはやどこにもない。  大震災の被害を逆手にとって被害を受けた地方の住民が自分達で 新しい村づくりを興すと言い出せばいい。  復興基金をつくり、そこに世界中の寄付をつのり、世界が注目する 街づくりをする。  小さな村でそれが成功すれば、それを大震災で被害を受けた東北 に広げてもいい。  同じ思いの地方が全国に増えていけば日本改造となる。  日本の技術で人と自然が共生する社会をつくる。  これこそが日本が世界に誇れるものだ。  経済力や軍事力の大きさを米国や中国と競ってみても始まらない。  米国や中国や、いや世界がまねの出来ない日本をつくって初めて 日本が世界から評価される国になれるのだ。  発想を根本的に変えるのである。  それこそが少子、高齢化社会の日本の目指す方向ではないか。  そういう考えを一冊の本にして世に問う。  そして最後にこれも読者の意見を聞かせてもらいたいのだが、  このプロジェクトを小沢一郎がいま執筆しているといわれている 新日本列島改造論と連携させるのはどうか。  大震災後の復興ビジョンを誰も描けないうちに、先駆けてそれを 発表する。  後は共鳴者がどこまで広がるかである。  そういう本づくりに読者も一緒になって参加してみませんか。  世の中に埋もれていた無名の、無数の良識が集まって実現する プロジェクトにしたいと思っている。                            了

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