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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

風評被害の本当の意味  
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月2日発行 第224号 ■     ==================================================================    風評被害の本当の意味          ==================================================================  メディアが当然のように使い続けてきた「風評被害」という言葉。  これほど面妖な言葉はない。  「風評」とは辞書によれば「世間の評判」、「うわさ」、「風説」 などとある。  つまり根拠のない大騒ぎというニュアンスが強い。  だから「風評被害」とは根拠のない噂に惑わされて招く被害という 程の意味になる。  菅民主党政権やそれを擁護する大手メディアの使い方もそういう 感じがする。  しかし、放射能汚染を恐れる国民の行動は決して根拠のない噂に 乗せられた馬鹿騒ぎではない。  わからないのだ。放射線汚染の恐ろしさが。  そしてどれほど自分達の日常生活が放射能汚染に脅かされている のかが分からないのだ。  それを政府が明確に言わないから途方に暮れるのだ。不安が募るのだ。  おまけに菅首相や枝野官房長官の国民に対する説明は責任逃れが に必死であるとしか映らない。  いまのところ大丈夫だといっても、それを長期間浴びたり、食べたり、 飲んだりしたらどういう影響があらわれるのか。  それを政府の口から明確に聞きたいのだ。  しかし政府はそれを決して言わない。  後で被害が出ても政府は責任を取ってはくれない。  度重なる公害被害や薬禍についての政府、裁判所の冷たい仕打ち を我々は嫌というほど見せつけられて来た。  国民は自分の事は自分で守るしかない、のである。  それを風評被害と言う言葉で一蹴するのはあまりにも乱暴だ。  そう思っていたら、4月1日の毎日新聞「論点」で関谷直也東洋大学 准教授(災害社会学)がいい事を言っていた。  「ある事件や事故、災害が大々的に報道され、本来『安全』とされる 食品や商品、土地を人々が危険視し消費をやめること」  風評被害をこう定義すれば、今まさにそれが起きている、と。  それを助長したのが、枝野官房長官が記者会見で繰り返す、「摂取した からといって直ちに健康に影響を及ぼすものではない」という言葉では なかったか、と。  そして、関谷准教授は言う。  「根本的には原因である原発事故を沈静化しなければならない」、と。  「いつ沈静化するかわからないなか、生活必需品を確保するのは自衛 行為として自然だ」、と。  その通りではないか。  メディアが国民にかわって追及すべきは、なぜ菅民主党政権はいつまで たっても放射線流出を食い止められないのか、ということだ。  なぜ今頃になって欧米の支援を大手を振って歓迎し始めたのか、という ことだ。  何よりも外国の手を借りなければ国民の安全を守れなかった指導者の 責任を菅首相は国民に対してどう説明したというのか。  それでも首相の座に居座り続けたいのか。  それはあまりにも厚顔ではないか。  あつかましいのではないか。  大手メディアが書くべきはその事である。                            了

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