□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月31日発行 第219号 ■ ================================================================== 菅首相はなぜ国民に正直でないのか ================================================================== 今度の原発事故をめぐる菅民主党政権の二週間あまりの対応は 情報隠しと責任逃れにつきる。 菅首相が隠そうとするのか、それともまわりの閣僚や官僚たちが そうさせるのか。 いずれにしても同じだ。 最終決断をするのは指導者だ。 脱官僚を捨て、保身のために官僚に迎合したとしたら菅首相の 国民への裏切りはやはり大きい。 原発事故が起きた直後に、米国が原子炉制御に全面的に協力する と日本政府に申し入れてきたのに、日本は返事をしなかったという。 この事は一部の報道でいち早く報じられていたがひろがらなかった。 しかし、もはや東電会長の口から福島原発の廃炉「やむなし」が 公言されるようになったことと符号を合わせるように、廃炉を決断 出来ないために米国の要請を引き受ける事をためらったという事が 報道されるようになった。 民主党議員がそれを口にし、日米外交筋がそれを語りだした(3月 31日産経)。 北沢俊美防衛相は30日の参院外交防衛委員会で、米軍無人偵察機 グローバルホークが撮影した映像について公開しない考えを示した という。 いまでは民間テレビでさえ原発事故現場の至近距離からの撮影を 放映し始めた。 その映像を見ると破壊がいかに激しかったかがわかる。 3月17日にすでに撮影され、米国も日本政府も見ている米国無線 偵察機が取った映像を、なぜ今でも日本政府は国民に見せようとしない のか。 それが衝撃的であるからだ。 なぜもっとはやく国民に見せなかったのかと批判される事を恐れる からだ。 あの尖閣ビデオの時とまったく同じだ。 今日(3月31日)発売の週刊新潮が、3月26日に行なわれた番 記者たちと首相の懇談について書いていた。 それは、ぶら下がり会見を止めた事に対する記者側の不満をガス抜き するために急遽行なわれたものであるという。 しかもそれを完全オフレコの懇談にして、その懇談の中で菅首相は 番記者達に、原発事故に対する自らの対応振りは誤っていなかったと 強弁したという。 あたかも自分に批判的な記事をこれ以上書いてくれるなといわん ばかりだ。 私は27日の新聞で、官邸でこの記者懇談が行なわた事を知っていた。 同時にそれを報じる各紙の記事が、その懇談の内容を一切報じない小 さな記事であった事をいぶかしく思ったものだ。 このような反国民的記者懇談が行なわれていたのだ。 上記に述べた三つの例はあくまでも一例に過ぎない。 今度の原発事故を巡る菅・枝野民主党政権の対応はどう見ても国民に 対して不親切、不誠実である。 いや都合の悪いこと、責任を問われる事を隠している。 その隠蔽ぶり、責任のがれぶりは、自民党時代とまったく同じである。 国民が菅民主党政権から離れていくとすれば、まさにその点にある。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)