□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月22日発行 第198号 ■ ================================================================== 原子力発電と日米同盟に共通するもの(その2) -原発は日本にとって不可欠なのか ================================================================== 日米同盟と同様に我々は、十分な知識もないままに、「原発は必要 なもの」と当然のように思い込まされてきたのではないか。 かくいう私もその一人だった。 日米同盟については、少なくとも私はそれなりの知識を持っている。 だから関心も高く、政府が繰り返す「日米同盟」絶対視について、 その欺瞞について自信をもって指摘できる。 しかし原発はほとんど無知だ。関心も低かった。 そんな私が原発に疑義を持ち始めたのは、わが国の電力需要は原発 無しでも十分に賄えるという事を知った時からだ。 日本が世界一原発の多い国であるという事を知った時からだ。 そう思った時から、何かおかしいと感じるようになった。 原子力発電はエコだ(CO2排出削減)というのは本当か。 盛夏の一時期を除いて電力供給は十分であるなら、なぜ原子力発電 は必要なのか。 地震が多く、狭い日本に、なぜこれほど原発が集中して建設されて きたのか。 週刊ポスト4月1日号の「放射能とデマ」という記事の中には、 「日本が原子力技術を持つことは、いずれ核兵器開発につながるから、 安全保障上、好ましいという意見がある」、という記述がある。 安保上の理由よりも、原発建設は大手企業のカネヅルである、そちら の理由のほうが大きい、という意見もある。 そういえば、今度の大震災が起きる前までは、原発の海外売込みを 菅民主党政権は国策のように熱心に推進していた。 さらに言えば、そもそも「原子力の平和利用」という謳い文句その ものが、核アレルギーの日本人の意識を変えるための米国の戦略であった とする歴史的証言もある(有馬哲夫著『原発・正力・CIA』新潮新書)。 3月21日の日経新聞「海外論調」の記事の中に、こんどの福島原発 事故が米国の「原子力ルネッサンス」に大きな影響を与えざるをえない という米紙の論調を紹介している記事がある。だから米国は強い関心を 持つのだ。 こう考えていくと原発と日米同盟の間に大きな共通性があることが わかる。 深く検証することなく当然のように推進されてきたということだ。 もっとも原発問題に詳しいが故に強く反対してきた人たちがこの日本 にもいる。 しかし、前掲の週刊ポストの記事は、その人たちを、「被爆国である 日本に原子力は要らない」という政治的イデオロギーによるヒステリック な批判、と決めつける。 これもまた日米同盟に反対する人たちを左翼イデオロギーと切って 捨てるのと同じだ。 原発反対と日米同盟反対は、日本国民の利益より米国の利益を優先する 政府と大手メディアにとっては共通の敵なのである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)