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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

原子力発電と日米同盟に共通するもの(その3)ー菅首相は原発廃止を決して言い出さないだろう
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月23日発行 第199号 ■     ==================================================================   原子力発電と日米同盟に共通するもの(その3)   -菅首相は原発廃止を決して言い出さないだろう。             ==================================================================  なぜ今回の原発事故の深刻性を菅首相は隠そうとするのか。  それはいたずらに国民にパニックを起こさせてはならないと いう配慮からである。  しかし、それは理由の一つでしかない。  本当の理由は、今回の原発事故で、日本の原発政策そのものに 国民が待ったをかけるようになることを恐れるからだ。  菅首相は市民活動から政治家になったという出自から左翼と いう目で見られている。  菅首相を支える仙谷前官房長官はれっきとした元左翼だ。政治家 の出発点は土井たか子の社会党である。  だから菅民主党政権は左翼政権だと言われる。  その左翼政権が政権を握ったのだから、左翼らしくその政策を 徹底すれば、菅民主党政権も随分と違っただろう。  しかし、現実はその反対だった。  「政権を取ったらその政策に責任を持たなくてはならない。」  これが菅首相が繰り返し国会で答弁してきた言葉だ。  それは首相になって日米安保を容認した村山首相とまったく同じだ。  いや村山首相は単純なだけまだわかりやすい。  菅首相の場合は確信的だ。  権力維持のためには野党時代の主義主張は手段でしかなかったのだ。  それはあたかも副大臣になって官僚たちと仕事が出来た味が忘れら れないといって社民党を捨てた辻元清美と同じである。  その辻元清美は菅首相夫妻に招待されて一人2万円もする代官山の 寿司屋で寿司をパクつき(週刊実話3月31日号)、今度の震災対策 では、仙谷によってボランテア担当の首相補佐官におさまっている。  しかし彼らの限界は、いくら現実的になったところで日本のエスタ ブリッシュメントを占める保守にはなれない。  エスタブリッシュメントになれない者たちがエスタブリッシュメント に迎合しようとする。  これは最悪だ。  エスタブリッシュメント以上に対米従属となり、エスタブリッシュ メント以上に原発反対を言い出せなくなる。  見ているがいい。菅首相は原発を見直すなどということは決して言わ ないだろう。  結果として市民派出身の彼に期待した人たちを裏切る事になる。  世界が再び原発見直し論について議論を始める中で、原発事故を起こ した日本だけが、放射能汚染の犠牲になった日本だけが、ひとり原発 推進の方針は変えないと言い続ける。  おかしくはないか。   私はイデオロギーにこだわる人間ではない。  その人間が、憲法9条は世界に誇るべき日本の宝だと気づき、核 物質は人間性に反するものだと思うようになった。  なぜ日本国民がそのような当たり前の思いに到達できないのだろうか。  それは権力者がそれを妨げようとするからだ。  権力と伴走する大手メディアが国民の目を曇らせるからだ。  今回の原発事故の深刻さにもかかわらず、原発反対の声が拡がらない。  メディアがそれを一切報じない。  それはあたかも唯一の被爆国である日本が日米同盟を重視して核の 抑止力に頼ろうとする光景と瓜二つである。  平和も原発反対も、今の日本では進まない理由がここにある。  本物のリベラル政権ができるか、それとも保守の中からそれを言い出 す有力者がでてくるか、そのいずれでしか平和も原発反対も実現でき ないような気がする。                             了  

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