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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

国連によるリビアへの武力行使は、結束、迅速、公正がすべてだ
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月21日発行 第195号 ■     ==================================================================   国連によるリビアへの武力行使は、結束、迅速、公正がすべてだ               ==================================================================    カダフィが悪あがきしたために事態は国連の武力行使という最悪 の事態に突入した。  しかし私はすでに書いたように今回の国連の武力行使を認める。  喜んで認めるのではない。できれば武力行使は避けられるべきだ。  しかし国連憲章は最後の手段として加盟国の国連憲章違反に対して 国連の一致した武力行使を認めている。  今回のカダフィの自国民攻撃はまさしく国際社会が認める犯罪で ある。  これをおいて国連の武力介入はないほどの悪業だ。  いたずらに放置することはリビア国内で多大の犠牲を認める事だ。  国連の関与は遅すぎるほどだと思っている。  しかし、そうだとしても、やはり国連の武力攻撃は、その被害を 最小限に抑え、事態を迅速に終わらせなければならない。  その鍵は何か。  それは結束、迅速、公正である。  今回もまた完全に国連が一致した武力攻撃ではなかった。  ロシアと中国が反対したからだ。  しかし、彼らの反対に正当性はない。  今度の戦争に反対できる者がいるとすれば、それは絶対的平和 主義者たちだけだ。  何があっても、どんな悪人の悪業に対しても、絶対に暴力を振る ってはいけないと一貫して主張してきた者たちだけだ。  しかし残念ながら国際社会はいまだその域に到達していない。  国連憲章が今の世界の平和を担保する唯一の手段だ。  そうであるならば、その必要があるときは国連は一致しなければ ならない。  それが今である。  武力や暴力を国益の為に平然と使用してきたロシアや中国に、 リビアに武力攻撃を使用するなという資格はない。どのような理由を つけてもである。  つぎに、国連が武力行使を行なった以上、圧倒的強さによって迅速 にカダフィを屈服させなければならない。  それが犠牲をおさえる最善の方法だ。  国連軍が本気になれば如何なる加盟国も軍事的に抵抗できない、 という事を世界に示す必要がある。武力行使に作戦上の乱れがあって はならない。  そして最後に公正の確保である。  これが一番重要な条件だ。これが確保されて始めて国連の武力行使に 正統性が与えられる。  私がいう公正には二つの意味がある。  一つは今度のカダフィのリビアは、武力行使を行なうに十分な悪業か、 つまり国際社会を敵に回した非人道的な状況なのか、という事である。  この認定が正当かつ透明性をもって行なわれる必要がある。  私は今のカダフィの悪あがきはそれに値すると思う。  二つ目は、適用国において不公平があってはならないということだ。  そしてこれについては残念ながら不公正が放置されている。  その典型はイスラエルのパレスチナ弾圧だ。  国連主要国が、自らの利害に基づいて武力行使を使い分けるとすれ ば、今度のリビアへの軍事行動も片手落ちになる。  それはリビアへの武力行使をやめろというのではなく、イスラエル などにも国連憲章に反する場合は武力介入せよ、ということだ。  最後に日本政府の対応について注文をつけたい。  政府は20日、松本剛明外務大臣の談話という形で支持表明を行 なった。  私はその方針を評価する。  しかし、あの談話では不十分だ。  総理が世界に向けて日本の立場を次のように発信すべきだ。  憲法9条を掲げる日本が今度の国連の武力行使を支持する。それは 国連憲章に定める国連による平和維持活動こそがいまの国際社会で 唯一認められる武力行使であるからだ。  カダフィ政権のリビアはまさしく国連による武力行使が避けられ ないほどの悪である。  迅速な事態の終焉を望む。これを契機に国連がこれからも公正な 平和の裁定者としてその役割を果たすことを望む、と。  今度の国連によるリビアへの武力介入は、戦後の国際政治史の中で、 それほど大きな出来事であると捉えるべきである。                             了

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