□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月9日発行 第91号 ■ ============================================================= あくまでも親米保守大連立を主張し続ける朝日新聞 ============================================================== 最近の国会審議を聞いた者であれば誰でもわかることだが、もはや 菅民主党政権はみずから唱えた政策の何一つ押し通すつもりはない かのようだ。 どんな修正でも応じるからとにかく予算を纏め上げたい、法案を通し たい、そのためには公明党でも、社民党でも、誰でもいいから、強行 採決に必要な数合わせができればいい、というものだ。 さすがに各紙もその事を正面から書くようになった。もはや菅政権は 末期的だ、もたない、と。 しかし不思議な事に菅民主党に退陣を求める事はしない。 危機を乗り切るには熟議しかない。首相のくびを頻繁に変えることが いいのか、今更自民党政権でもないだろう、などなどである。 それにもまして小沢を復活させることだけは認められない。この 点でも見事に一致している。 要するにメディアが望むのは親米保守の大連立であり、それがだめなら 政界再編による親米保守連立なのである。 それを見事に主張しているのが今日(2月9日)の朝日新聞の社説 「越えられない違いなのか」である。 その社説はまずこう主張する。 「・・・熟議の国会とは程遠いが、それでも他に道はないと与野党も腹を くくってほしい。民主、自民両党が掲げる政策そのものに乗り越えられない ほどの違いはないのだから、自民党もいたずらに解散・総選挙を求める のではなく、歩み寄るべきだ・・・」、と。 その一方で社民党との連立模索の動きを次のように切り捨てる。 「・・・自公に限らず幅広く協力を求め、接点を探ることは当然である。 しかし社民党との間には米軍普天間飛行場移設だけでなく、消費税増税や TPP(環太平洋経済連携)などの自由貿易推進でも大きな溝があることを 忘れてはならない・・・どんなに難しくても政策ごとに各党と丁寧な議論 を重ね、一致点を探る。その姿勢を貫くべきである」 要するに朝日の社説は、マニフェスト捨てた事には一切言及することなく、 ひたすら日米同盟の深化、消費税増税、新自由主義経済の推進に向かって、 頼りのない菅民主党政権を皆で支え合って進め、と言っているのだ。 あまりにも見事な米政権の広報新聞ぶりである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)