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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

どこが熟議の国会だというのか   
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月2日発行 第70号 ■    =============================================================   どこが熟議の国会だというのか                      ==============================================================  国会質疑で唯一意味があるとすればそれは予算委員会だ。  テレビで中継される。翌日の新聞が報道する。質問に立つ与野党の 議員が国民視線を気にして張り切る。  その予算委員会がはじまった。  これほど突っ込みどころが多い国会である。  どのような議論の応酬があるのかと期待して見たが、これほどつまらない ものはなかった。  なぜか。それは菅民主党がなりふり構わず自民党化しているからだ。  自民党の政策を何でも飲むから首相にとどまらせてくれといわんばかり に、政策作りを一緒にやろうと繰り返しているからだ。  一方の自民党は、政策を丸呑みされたから攻め切れない。  消費税を愚直に唱えて政権を手放した反省にホゾを噛み、消費税を 上げないといって政権を取った後に消費税を上げるという菅民主党の狡猾さ に負けいる。  おそらくこの調子で国会が進んで行くに違いない。  あまりの少数政党に成り果てたその他の野党など、どんな質問をしても あしらわれて終わりだ。  ところがこんな国会を評してやっと熟議が始まった、と言った者がいる。  それがテレビ朝日の解説者である一色清と古館一郎だ。  1日夜の報道ステーションで相槌を打ち合っていた。  そうかと思えば2月2日の毎日新聞の社説である。  テレ朝に比べれば少しは遠慮がちだが、それでも「熟議の助走には なった」などと書いている。  政治記事なんていい加減なものだ。  その点まだ2月2日の産経新聞は正直だ。  「手ぬるい自民追及」と書いていた。あまりの対決色の薄さに、国対 幹部まで、「インパクトがない」と嘆いた、と書いている。  私が一番驚いたのは、自民党の柴山昌彦議員が藤井裕久官房副長官に、 旧自由党の15億円にのぼる組織活動費の行方を追及した事に対する 藤井氏の答弁である。  当時幹事長であった藤井氏である。  その藤井氏の署名・捺印のある証拠書類のコピーを突きつけて使途不明を 質した柴山議員に対し、一切の答弁を拒否し続けたのだ。  答えに窮して立ち往生した時もあった。  その開き直りには驚いたが、もっと驚いたのは柴山氏があっさり矛を 収めたことだ。  かつての国会なら、即座に審議が止まって大きな政局になったはずだ。  しかしそのような雰囲気は今の国会には皆無である。  それを報じる2月2日の国会中継記事も、この重大な政治資金疑惑を ほとんど取り上げる事はない。  緊張感のない緩んだ国会など無意味だ。  そんな国会質疑を報じ、それをもっともらしく解説する政治解説なども また無意味だ。  今の政治を正していくのは国民の政治ボイコットしかない。                            了

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