□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月2日発行 第71号 ■ ============================================================= エジプト政変に対するイスラエルの反応の特異性 ============================================================== 今回のエジプト政変に対する各国の反応は、反政府デモの拡がりに 従って微妙に変化してきているが、おおむね次のようなものである。 すなわち、どのような政権が好ましいかどうかはその国の国民が 決める事だ、 軍隊や警察が暴力で治安を鎮圧してはいけない、 民衆の声を尊重した平和的な政権移譲が好ましい、 などなどである。 ところがそういった世界の国々の常識的な反応とはまったく異なる 反応を見せた国がある。 それがイスラエルである。 1月31日の朝日新聞はエルサレム発井上道夫記者の次のような記事を 一段の小さな記事として報じていた。 「イスラエルのネタニヤフ首相は30日、エジプトで反政府デモが続いて いる事を受け、『30年以上に及ぶイスラエルとエジプトの和平関係が今後 も続くことを望む』と語った。ネタニヤフ首相は、閣僚に反政府デモに 関する発言を控えるように指示しており、政府としての公式の立場を表明 したのは初めて」 エジプトの反政府デモがどう進展していくかまったく不明な時点で、 たとえ如何なる政権がエジプトに出来ようとも、イスラエルの関心はその国 との平和的な関係が続くかどうかだ、というイスラエル首相。 下手な発言をしてエジプト国民を反イスラエルに追いやってはいけない、 反イスラエル政権をつくらせるようなことをしてはいけない、と閣僚に かん口令を敷くイスラエル首相。 世界ひろしといえどもこのような国はイスラエルの他にはないだろう。 ここにイスラエルの特異性がある。 イスラエルと言う国が置かれている苦境が見える。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)