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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

最高裁判所調査官という名のこの国の支配者   
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月2日発行 第69号 ■    =============================================================   最高裁判所調査官という名のこの国の支配者                      ==============================================================  この国の「法の支配」を実現する最高司法機関。それが最高裁判所だ。  ここで下された判決は終着駅だ。絶対だ。  その最高裁判所がこの国の不正義の元凶ではないか。  そう思わせる数々の証言を私は様々なところで見聞きしてきた。  そしてそれをこのメルマガでも書いてきた。  しかし、これほどまでの独善が放置されていたのか、と今更ながら驚き、 怒り、そして恐怖心すら覚えた。  情報月刊誌「選択」2月号の「『独善』目に余る最高裁の黒子たち」と いう記事がそれだ。これは必読の記事だ。  そこには国民がまったく知らない最高裁判所の現実が書き綴られている。  最高裁判所を事実上取り仕切っているのは最高裁判所調査官と呼ばれる 黒子たちであるという。  これは裁判官暦10年以上の中堅35人ほどの集団であるという。  最高裁判事への登竜門といわれるだけあり、過去の判例を金科玉条のよう に信奉する極めて保守的なエリートたちであるという。  上告案件の殆どは、彼らが密室で書面審査をチェックしてはねつける。  その結果15人の最高裁判事の手元に訴えが届くのは2%足らずだ。  つまり門前払い、すなわち最高裁判所が法廷を一切開かずに棄却決定 される刑事訴訟の確率は98%なのである。  ほとんどすべての訴えが調査官の一存で一蹴されるのだ。  これが他国に例のない異常な棄却決定率であることは言うまでもない。  しかもある最高裁判所判事OBは、「調査官の出した結果におおむね異論 を述べることはない、若い優秀な調査官と議論をするとストレスを伴う」と 打ち明け、調査官の言いなりだったことを暗に認めたという。  調査官の最高裁支配はそれにとどまらない。  違憲判断を行なう大法廷への審理を恣意的に見送る。つまり調査官の 判断で違憲審査を回避する。  最高裁の判決が判例集に掲載される時には「調査官解説」が付記され、 それが一人歩きして下級審の判決に影響を与える。  もっと悪質なのは、外部に一切漏れるはずのない棄却決定の通知書を司法 記者クラブに事前レクチャー(解説)する密約があるという。  記者達は通知書が当事者に到着するのを待って予定稿を報道するのだ。  この密約の便宜があるために記者達は決して最高裁判所の批判をしない。 まして最高裁判所を壟断する最高裁判所調査官のことなどはその存在さえ 書かない。  出世と保身に安住する黒子の最高裁判所調査官という司法官僚に門前払い されて無念の涙を流している国民がどれほどいるだろうか。  今こそこの国の最高裁判所を白洲に引っ張り出して、大岡越前裁きを食ら わせなければならない。  それが政権交代に期待された一つであったはずだ。  ところがどうだ。  国民に背く司法改革がますます国民を拘束しつつある。                            了

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