□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月30日発行 第62号 ■ ============================================================= 米国の代理人である一人の銀行マン ============================================================== いつかは書こうと思っていたがもうそろそろいいだろう。 これから書く事にピンと来た読者は事情通である。 産経新聞の「世界鳥瞰」という連載コラムの1月29日のそれは、 国際協力銀行の企画部長という肩書きの前田匡史という人物が書いていた。 一銀行マンが産経新聞の一面トップのコラムに執筆することは普通では ない。 しかもそのテーマが銀行マンとはおよそ無縁の日米安全保障問題である。 そのコラムの中で前田氏はホワイトハウスの国家安全保障会議のスタッフ を訪れて北朝鮮や中国とどう向き合うかについて話したと自慢げに書いて いる。 私が前田氏の言動に注目したのは昨年の半ば頃からである。 やはり今回と同じように日米安全保障問題について語っていた。 それ以来、彼の記事を大手新聞紙上で見つけるたびに、それを切り抜いて 言動を注視してきた。 産経新聞の定期的なコラムの執筆だけではない。 手元にあるだけでも毎日新聞、朝日新聞、東京新聞などが彼のインタビュー 記事を掲載するようになった。 国際協力銀行には部長クラスは山ほどいるだろう。 もっと地位が上の幹部がいるはずだ。 なぜ前田匡史企画部長がここまでメディアに登場するのか。 その説明を正面から解説してくれる記事を探し続けたが見つける事は できなかった。 そんな時に、私の疑問に見事に答えてくれる記事をとうとう見つけた。 副島隆彦氏の最近著「日米 地獄へ道連れ経済」(祥伝社)の185 ページ以下に詳しく書かれている。 「ここに一人の日本人の銀行マンあがりがいる・・・」 そういう副島氏特有の言葉で始まる解説は、彼こそが竹中平蔵に代わる これからの日米間の橋渡しを期待されている米国の代理人であると、様々 な具体例をあげて教えている。 なによりも現職の国際協力銀行の一職員がここまで国策に関与する異常 さを追及している。 なるほど合点がいく。 彼が昨年6月22日の閣議で菅・仙谷民主党政権によって内閣官房参与 に任命されたことが。 昨年12月の政府決定で、行革に逆行する形で国際協力銀行が日本政策 金融公庫から分離・独立され、好き放題できるようになったことが。 そしてその国際協力銀行が、前田国際経営企画部長の采配の下で、原発 や新幹線などのインフラ輸出促進の資金協力をどんどんと進めている事を。 なによりも在沖縄海兵隊のグアム移転のインフラ整備に大規模な資金 協力を決めたことが。 今の日本は異常だ。 国民の眼の届かないところで、米国の代理人が日本政府を動かしている。 前田という尻尾が菅政権という犬を振り回している。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)