□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月26日発行 第52号 ■ ============================================================= 新国際通貨体制づくりに動こうとしない日本 ============================================================== 米国の行きすぎた金融資本主義がリーマンショックを呼び世界経済を 混迷に突き落とした。 もはやドルの信認は揺らぎ新しい国際通貨体制を構築する事は不可避だ。 当時そのような意見がメディアをにぎわした。 当時の論調を振り返ってみればいい。皆がそう唱えていた。 ところが今では誰もそのような事を言わなくなった。 そんな中で出た胡錦涛中国国家主席の発言だった。 「ドル基軸は過去の産物だ」。 18日からの訪米を控えた胡錦涛主席は16日の米紙ウオールストリート ジャーナルとワシントンポスト(電子版)による書面インタビューにそう 答えたという。 1月18日の日本各紙がそう報じた。 これは重大な発言であったのに、その重大さを解説する記事は見当たら なかった。あたかも黙殺するかのごときだった。 そんな中で1月25日の各紙は、サルコジ仏大統領が仏で今年開かれる G-8とG-20の首脳会議において国際通貨体制の見直しを議題にする と記者会見した(1月25日日経)と報じた。 その際にあわせて、その準備のために新たな国際通貨体制に関するはじめ ての国際会議を3月末に中国で開催することで胡錦涛主席と合意したと発表 した(1月25日朝日)という。 サルコジ大統領はまた、「新国際通貨体制」の創設についての議論は、 来年のG-20共同議長国であるドイツとメキシコに引き継ぐことで合意 していることを明らかにしたという。 日本にとっても新国際通貨体制づくりに積極的に関わっていくべきは国是 であったはずだ。 それが日本の利益にもなるはずだ。 もはや新国際通貨制度づくりは国際経済の不可避的な流れだ。 それにも関わらず対米従属に邁進する菅民主党政権にはその動きは まったく見られない。 外務省に負けず劣らず対米従属である財務省の言うなりになっている 菅民主党政権の政治指導力のなさが、ここにも影を落としている。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)