□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月18日発行 第33号 ■ ============================================================= 政治主導の外交が行われているというのか ============================================================== 外務官僚を擁護するつもりはない。 河野駐露大使の情報収集能力は確かに問題があった。それを放置して いた外務省は確かにいい加減だ。 しかしメドベージェフ大統領の国後訪問(2010.11.1.)に ついて当時の報道を振り返ってみると、すでに9月末の時点でメドベージ ェフ大統領自身がそう語っていたし、その信憑性を伝える公開情報も数 多く見られた。 その時点で政治主導の外交が出来ていれば外務省の情報収集不足は克服 されたはずだ。 情報収集を外務省に任せきりにして、その情報のおかしさを知っていなが ら、政治がなにもしなかった、出来なかったことこそ問題ではなかったのか。 その事は、河野大使の更迭後の事態の進展を見れば明らかである。 河野大使を更迭したところで、ロシアの北方領土所有の動きはどんどんと 進んで行った。 新年に入ってもロシアの北方領土所有の既成事実化は進んでいる。 私の手元にある直近の報道は、ロシアのセルジュコフ国防相のエトロフ島 訪問計画である(1月3日朝日)。 ロシアは明らかに首脳の政治主導で北方領土政策を進めている。 これに対してわが国の政治的対応はどうか。 何一つとして行なわれていないのだ。 情報収集はもちろん重要である。 しかしたとえ正しい情報が山ほど得られていたとしても、それに対応する 政策が実施されなければ意味はない。 政局でそれどころではないことはわかる。 しかしそれが政策不在の免罪符になるはずはない。 一事が万事である。 脱官僚の政策実施が出来ない事に国民は裏切られる思いである。 しかしもっと深刻な裏切りは、政権交代を果たした政治家もまた官僚と同様 に無能であったということである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)