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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

TPPの本当の問題―国民のためにならない政・官・大企業の結託   
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月18日発行 第34号 ■    =============================================================   TPPの本当の問題―国民のためにならない政・官・大企業の結託          ==============================================================  TPPの本当の問題はどこにあるのか。それはこの国の政府が国民参加の 下に、国民のための政策を行なわないところにある。  そう私はメルマガで書いた。  その事を見事に裏付ける記事を又一つ見つけた。  1月18日の各紙は全農(JA)と丸紅がコメ流通で戦略提携を行なった と報じている。  この報道のポイントはコメの対中国輸出の利益山分けである。  私の住んでいる栃木県北部もうまいコメの産地である。  コメの自由化が避けられない。政府の政策に期待できない。ならばせめて 自分たちでコメ輸出の努力をしよう。そういう農家が出てきた。  彼らと付き合っていくうちに、彼らの不満を聞かされる。この国のコメの 政策の不合理が見えてくる。  当面の最大の不合理はコメの中国輸出に関するものである。  中国の金持ちが日本米を好んで食べるようになった。中国では日本より数倍 高い値段で売られるようになった。  TPPを実施するためには中国市場の販路拡大しかない。  そこに目をつけた政府は中国と協議を重ねて原則的合意を得た。  ところが個々の農家にとってはここに大きな障害が立ちふさがる。  個々の農家がいくら努力をしても直接に中国に売り込む事はできないのだ。  一つには中国に輸出するコメは中国が要求する所定の検疫手続きを経なければ ならないが、この検疫施設が絶対的に不足していて、個々の農家ではどうにも ならない。政府の対応があまりにも遅い。  二つには全農という組織の存在がある。この全農は、本来は個々の農家の 農業を助けるためのものであるはずが、もはや仲介利益をむさぼる利益団体 となって農家の前に立ちふさがる。  その農協と大商社が組んで中国へのコメの売り込みを始めるのだ。結果は おして知るべしである。  三つに農業における政治に介入がある。全農は農水省を通じて政治家と相互 依存関係だ。選挙の票と見返りに便宜を図ってもらう。その仲介を農林官僚が 行なう。  かくして政・官・全農・大企業の手によって、個々の農家の労働の成果である コメが搾取される。  汗水垂らしておいしいコメをつくる農家が本来はその収益を手にしなければ ならないのに、収益の多くの部分が全農や大企業に吸い上げられていく。  TPP推進の本当の問題は、その恩恵が末端に届かない事である。  この構造は民主党政権になっても何も変わらない。                                 了

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