TPPについて書いたら、読者からさっそく貴重な投稿が寄せられた ので、その要旨を抜粋して以下に読者と共有したい。 私は一般論として貿易自由化に賛成である。 どこの国も国益があり、守るべき産業がある。 しかし、すべての国が自国産業を守ってばかりでは自由化は進まない。 その一方で自国の産業を犠牲にして他国の利益に加担する事などは主権 国家のすることではない。 世界貿易の拡大によってすべての参加国が裨益する、そのために犠牲を 強いられる者たちには、犠牲に見合う対策を国家が行なった上で、皆が 満足する形で自由化交渉を進める、これである。 いずれの国もそれをやっているというのだ。 日本だけがそうなっていないのだ。 知恵のない官僚と政治家が決めた方針を、飲むか飲まないか、これでは 国民は納得しない、できない。 政府の無能さの結果、そこに不公平が生じ、国民が分断され、揚句の果て にいつまでたっても国民的コンセンサスができないまま世界から取り残され ていく。 これが日本の姿だとしたらあまりにも残念だ。 TPPも何もかも、あらゆる解決困難な問題は、実は問題自体が問題なの ではない。 その問題に適切に対応できないこの国のシステムが問題なのであり、その システムをつくり、それに安住している官僚と政治家こそ問題なのである。 日本の政策決定システムは根本的に改めるほかはない。 以下投稿抜粋 ・・・TPPは、オーストラリアも参加し積極的に動いています・・・ (しかし)それは、政府の決定を押し付けるのではなく、利害関係者から 広く意見を求めたのです。(農業団体を含む)経済界、組合、研究者などが 外務貿易省のウェブサイトを通じて意見を提出し、それはサイトで公開され ています。また、特にオーストラリアが参加した場合の経済、地域、社会、 文化、規制、環境面での費用と便益についての意見を求めています。 外務貿易省は、利害関係者との協議を今後も継続していくとしています から、上げられてきた意見を、それは懸念も含めてですが、国内の意見を 交渉に反映させているのだと思います。 TPPへの参加は、オーストラリアにとってはアメリカ化という意識はない でしょう。それよりも、アメリカが完全な主導権を握ることがないように、 しっかりルール作りから参加していこうという意図だと思います。オースト ラリアはそういう姿勢であり、例えば、ヴェトナム、シンガポール、マレー シアといった国もアメリカ化を受け入れるとは思えませんから、TPP参加= アメリカ化の受け入れというのは単純すぎるのではないかと思います。 翻って、日本にその意識があるかは大いに疑問です。菅首相にも、外務省 にも、アメリカの主導権を阻むためにルール作りに加わったりする度胸は ないでしょう。組合や農業団体や一般市民から広く意見を募って、いわば ボトムアップの形で政府としての交渉態度に反映させるなどという感覚も 持ち合わせていないと思います。 ただひたすらアメリカの意向に沿うためのTPPなら、害多く利は少ないと いわざるを得ません・・・ 引用終わり
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)