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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

枝野氏の対中国暴言前科を追及しない大手メディア   
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月15日発行 第25号 ■    =============================================================   枝野氏の対中国暴言前科を追及しない大手メディア          ==============================================================  私は政局がらみの発信についてはできるだけブログでそれを行なうこ にしている。  その理由の一つは、不特定多数に発信することによって、そのメッセージ が関係者に届くことを期待するからである。  改造内閣人事が発表されて、さまざまな評価がなされている。  枝野氏の官房長官就任についても、批判的な声は、参院選敗北の責任は どうなったとか、仙谷氏の影響を受け継いだ反小沢路線の強化だ、などという 批判がもっぱらだ。  しかし私の注目点はあくまでも枝野氏の対中国暴言前科である。7  枝野氏が官房長官の有力候補として急浮上したのは、年が明けて間もない 1月7日の報道だった。  その時私はすかさずその日の私のブログで菅首相にメッセージを送った。  それだけはおやめなさい、と。  その最大の理由は枝野氏が副幹事長であった昨年10月に埼玉で講演をした 時、中国について暴言を吐いたことがあったからだ。  私の助言メッセージを菅首相やその側近が読んだかどうかはもちろんわから ない。  しかしそのブログを読んだ日刊ゲンダイの記者が、内閣改造人事が内定した 事を見てすかさず私に電話してコメントを求めてきた。13日の夜のことで あった。  中国暴言発言の前科がある枝野氏の官房長官起用で日本の対中関係は大丈夫 なのか、と。  私は答えた。枝野発言は致命的となるかもしれない。中国はそれを決して 忘れないだろう。折に触れて持ち出してくるであろう、と。  その発言が1月15日(発売は14日)の日刊ゲンダイに掲載された。  メディアに引用される私の発言は、あらかじめメディアが決めた方針に沿った 発言に脚色されて掲載される事が多い。  とくに日刊ゲンダイは激しい言葉に書き直されることがしばしばだ。  しかしこの枝野発言に関する私のコメントは正確だった。  すなわち、枝野発言は中国側に深刻なしこりを残したに違いない。中国は 忘れないだろう。菅首相は中国に喧嘩を売っているようなものだ。これ以上 日中関係を悪化させても日本が得るものは何もない、前原、枝野コンビでは 対中関係は本当の意味で進展しないだろう、というものだ。  案の定1月15日の一部の新聞、テレビは、中国共産党機関紙である人民日報 (電子版)が、枝野批判を行なったと小さく取り上げた。  事実、あの時の枝野発言は重大な発言であった。  それは、なにも「あしき隣人」だとか、「法治国家でない」という、中国に 対する罵詈雑言を繰り返しただけではない。  親分である菅・仙谷両名が尖閣問題でこじれた日中関係を必死で修復しようと して繰り返した「戦略的互恵関係」を、言葉の遊びだと言って頭から否定した からである。  事実この発言の深刻さのために菅・仙谷政権は枝野氏をしばらくメディアから 遠のけた。あの時この発言が大問題に発展すれば、政権はアウトだったからだ。  しかし、いまでもこの枝野発言の深刻性は少しも減じていない。  戦略的互恵関係は今でも菅民主党政権の対中関係の基本である。来る国会での 施政方針演説でも出てくる言葉に違いない。  それを3ヶ月前に否定した人物を、菅首相は政府の代弁者であり首相の女房役 に就けたのである。  もし菅首相やその側近が私のメッセージを知った上で枝野氏を官房長官に就け たとしたらいい度胸だ。  中国の圧力に屈するなという世論の大勢が味方してくれると思っているのだろうか。  日米同盟、増税政策を支持する大手メディアは、この問題を追及しないだろう とたかをくくっているのだろうか。  米国を後ろ盾にして強く出れば中国は譲歩すると考えているのだろうか。  すべてはこれから明らかになる。                                                       了                            

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