□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月16日発行 第26号 ■ ============================================================= こんな菅改造内閣を、それでも苦し紛れに擁護する朝日と読売の社説 ============================================================== 昨日(1月15日)仙台での平和集会に呼ばれて講演をした。雪が ちらつく週末にも関わらず集まった人たちの平和に対する熱い思いに、 改めてこの国もまだ捨てたものではないと勇気づけられて帰って来た。 その時、開場で配られたチラシの中に戦争と大失業を進める菅民主党政権 を倒そう!というものがあって、その怒りの強さに驚かされた。 その一方で、自主防衛を進めて中国撃つべしとするタカ派からは、菅政権は 左翼政権崩れと非難されっぱなしだ。 タカ派からもハト派からも責められる政権は珍しい。それほど菅政権の 正体は不明であるということだ。 しかしはっきりしていることが一つある。それは米国の顔色ばかりを 伺ってその米国の要求に絶対服従しようとしている姿だ。 だからこそ菅政権は親米保守から支えられてきた。 それを象徴しているのが1月15日の朝日と読売の社説だ。 今度の改造内閣を評価する者がいるとすれば、それは菅民主党政権が続く 事によってなんらかの形で利益を得ている利害関係者か、さもなければ、日本 の政治に何の関心も知識もない大勢順応者か、そのいずれかに違いない。 少しでも政治に関心がある者なら、そして人間社会を生きてきた者にとって は、今度の改造人事で露呈した菅直人という政治家の卑しさと厚顔さに愛想が つくはずである。 だから菅政権を支え続けてきた大手メディアといえどもその評価は厳しい。 それにも関わらず、菅改造内閣頑張れと社説で書き、おそらく今後行き詰 まるであろう菅政権を、それでも苦し紛れに応援していたのが朝日と読売の 社説である。 さすがに朝日も読売も、手放しでは喜ぶわけにはいかない。これから菅政権が 直面せざるを得ない困難は想像にあまりある、と言っている。 そんな思いをぐっと飲み込んで、「結果を出していくしかない」(朝日) 「懸案に党派を超えて取り組め」(読売)と、励ましとも、祈りともつかない ような社説を掲げているのである。 私も長年新聞を読んできたが、こんな奇妙な社説は初めてだ。 しかも朝日と読売という二大ライバル紙が、奇しくも同じような社説を掲げ ているというのも珍しい。 そしてどちらも同じように、消費税増税やTPPや日米同盟深化について 覚悟を決めた菅首相の英断を讃え、菅首相に果たしてそれができるかと不安を 抱きながらも、激励している。 どこかで聞いたような激励だ。 そうである。それはまさしく米国の反応である。 菅直人という首相に対する評価や愛着は微塵も感じさせない米国が、ただ ひたすら米国の要求に従うという一点で、菅民主党政権を誉めそやす。 朝日と読売の社説もまさにそれである。 朝日と読売は米国の代弁者に成り果てたということだ。 メディアとしてやがて消滅していくだろう。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)