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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

長妻昭前厚労相が語る更迭の真相 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月11日発行 第17号 ■     ===============================================================    長妻昭前厚労相が語る更迭の真相         ===============================================================  発売中の文芸春秋2月号に注目すべき記事を見つけた。  報道されているような西岡参院議長の「菅・仙谷には国を任せられない」 という記事の事ではない。これは読むまでもない。タイトル通りだ。  私が注目したのは長妻昭前厚生労働相のインタビュー記事、「私はなぜ 大臣を辞めさせられたのか」である。  長妻大臣は昨年9月の内閣改造で今の細川大臣と交替した。  当時の報道を読み返してみると、厚生官僚と摩擦を起こして仙谷官房長官 に更迭された、というのがもっぱらだった。  たとえば2010年9月21日の毎日新聞「読む政治」という特集記事は、 「長妻氏、無念の退場」、「仙谷氏冷めた評価」という見出しをつけて、 「長妻さんは官僚たたき一辺倒。政策が進みません」、そう言って訴える官僚 たちに仙谷氏は「あいつはなあ・・・」と言ってまゆをひそめた、という記事 を掲載していた。  細川氏が厚労相に就任して最初に開かれた政務三役会議では、長妻時代に 開かれなかった省議の復活決定だった(2010年10月11日産経)  しかし、なぜそこまで長妻氏が官僚に嫌われたのか、なぜ仙谷氏がそこまで 長妻氏を遠ざけたのかは、必ずしも当時の報道では明らかではなかった。  その答えを長妻氏が文芸春秋2月号で自らの口で語っているのだ。  その理由はズバリ、厚生労働省の官僚人事に長妻氏が本気で手をつけようと したからだ。官僚が決める予定調和の人事に異を唱え、それに加えて天下り を認めなかったからだ。  脱官僚は政権交代を訴えた民主党の看板の一つのはずであった。  政権交代直後の仙谷大臣は(当時行政刷新担当大臣)、「企業に社長は二人 は要らない」などと言って、事務次官ポストの廃止を口にしたことさえあった。  その仙谷氏が、菅政権になって、仙谷官房長官になったとたんに、官僚たち の駆け込み寺のようになり、厚生労働省の官僚の言う事を聞いて長妻昭氏を 遠ざけたのだ。  長妻氏のインタビュー記事を読んで私が驚いたのは、官僚人事に本気で手を つけようとした大臣は長妻氏の他は誰もいなかったという事だ。  三流官庁である厚生労働省の官僚でさえここまで抵抗するのだ。  ましてや財務省、外務省、経済産業省の官僚たちが、政治家に人事介入され てたまるかと強く抵抗したことは容易に想像がつく。  その姿を見た菅民主党政権の大臣たちは、無用な争いを避けて官僚たちと 馴れ合った。その総元締めが仙谷官房長官であったということだ。  長妻氏は大きな勘違いをしたのだ。  官僚支配を変えるのは政権の一つや二つ飛んでも止むを得ないほどの一大 事業である。  民主党政権が、そして民主党が、政権を賭けて、党の命運を賭けて行なって もなお困難な事業だ。  それを長妻氏は自分の省庁の改革は自分一人でもできる、と張り切った。  気がついてみたら誰もついてくる大臣はいなかった。  それどころか菅政権の司令塔が後ろから鉄砲を撃ってきたということだ。  これが菅・仙谷民主党政権の実態なのである。  長妻氏はインタビューの最後でこう語っている。自分はいま党の行政刷新 プロジェクトチーム座長や政治改革推進本部の事務総長の任にある。  古い役所文化を変えて見せる、と。  民主党は国民の期待に応えられていないが、あきらめないで突き進む、と。  しかしその声はむなしく響く。  もはや今の菅・仙谷民主党政権の下では、長妻氏の活躍する余地はない。  古い役所文化は誰も変えることなく厳然と続くのである。                            了

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