Foomii(フーミー)

天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

前原外相の訪米が意味するもの   
無料記事

□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月8日発行 第13号 ■       ===============================================================    前原外相の訪米が意味するもの        ===============================================================  前原外相の訪米目的は一体何だったのか。  ありきたりの報道をいくら読んでもわからない。  あの訪米が意味するところは要するに次の四点だ。  一つは、前原訪米は菅首相の訪米の露払いであり、前原外相個人に とって親米政治家の第一人者であることを売り込むための訪米である という事だ。それ以上の意味はない。米国がそれにつきあっただけである。  その事はもうすぐ行なわれる胡錦涛中国国家主席の訪米の重要性と比較 すれば馬鹿でもわかる。  今度の米中首脳会談は米国と中国の文字通りの交渉だ。駆け引きだ。  その結果は日本の対米外交に多大の影響を与えざるを得ない。  その前の前原外相の訪米などは米国にとってはとるに足らないものだ。  前原外相にとっては、中国外相の前にクリントン国務長官に会った、 それだけである。  二つは、菅首相の訪米時期が米国の口から明確に示されたことだ。  クリントン国務長官は前原外相との会談後の共同記者会見で、「今春の 遅い時期に菅首相が訪米することを心待ちにしている」と言ったらしい (産経新聞)。  日本のメディアは菅首相の訪米は春だ、春だ、というばかりで具体的に それが何時かについては明らかにしなかった。それがクリントン国務長官 の口から春の遅い時期の訪米であるとはじめて明かされた。  訪米で政権浮揚を図ろうと目論む菅首相にしてみれば、とんだ当て外れに 違いない。そこまで菅政権はもつのか。  三つは、普天間基地問題は菅首相の訪米時の解決にはこだわらないという ことが確認されたことだ。  これは何を意味するかといえば、鳩山首相が首相の座と引き換えに合意した 2010年5月28日の日米合意が見直されるということだ。  2010年5月28日の日米共同声明では、普天間基地代替施設の位置と 工法について、その検証及び確認を次回の2プラス2までに完了させると 明記されていた。  それにもかかわらず、菅首相訪米の前に開かれる2プラス2においては 普天間基地問題を切り離すという。  これは明らかに日米合意の変更である。米国議会のグアム移転経費削減に より米側の都合で日米合意を変更せざるをえなくなったのである。  そうであれば、本来ならばこの機会に菅民主党党首はオバマ大統領に移転先 をも含めて日米合意を再交渉しようと言うべきである。沖縄県民の声をオバマ 大統領に伝えるチャンスでもある。  そしてその気になればそれは出来る。  それにもかかわらず日本のメディアは約束を守るべきは日本だ、約束を守ら なければ日米同盟が揺らぐ、といい続ける。  なんという売国的なメディアであろうか。  4つ目は、そしてこれこそが一番重要なことであるが、菅首相の訪米時に 新安保共同宣言を発表することで合意したことである。  この新安保共同宣言はこれまでの日米安保条約を完全に変更するものになる。  これは政府間の合意一つで国会承認条約の日米安保条約を変えてしまう、と いうことだ。  すでにこの事はこれまでの政治宣言で繰り返されて来た。2005年10月 の米軍再編に対する協力を決めた共同声明がそれであった。  それが法治主義に反する違憲行為であることは明らかである。その指摘が孫崎 享外務省局長OBなどから公然となされてきた。  それにも関わらず、菅首相は開き直って、日米安保から日米同盟への根本的 変更を堂々と行なうという事である。  菅首相は、憲法を踏みにじって日本の対米従属化を固定化した首相として 歴史に末永く記憶されるだろう。  その罪万死に値すると思う。                                了

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

2011年のバックナンバー

2010年のバックナンバー

2009年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2024年11月19日に利用を開始した場合、2024年11月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2024年12月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する