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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「埋蔵金の総額がわからない」などという嘘を許してはいけない。
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月6日発行 第7号 ■       ===============================================================  「埋蔵金の総額がわからない」などという嘘を許してはいけない。     ===============================================================  かつて民主党が政権を取る前、特別会計に隠された莫大な埋蔵金を各省庁 から吐き出させば、財源は見つかるはずだ、増税する前にまずそれらを使う ことだ、という議論が盛んに行なわれたことがあった。  ところが民主党が政権を取り、鳴り物入りで特別会計を事業仕分けして 見たものの、大した埋蔵金は見つからなかった、となった。  埋蔵金などない。いずれも必要な予算だ。すでに埋蔵金など使ってしま った。などと報道されてきた。  そんなもんかと、我々は思うしかなかった。  ところが予算編成が大詰めを迎えていた昨年12月22日の各紙に、 あっさり埋蔵金を認めた記事が踊った。  基礎年金の財源が足りない。そこで野田財務相と馬淵国交相が会談し、 国交省が所管する独立行政法人の鉄建機構(鉄道建設・運輸施設整備支援 機構)の利益余剰金1兆2000億円を年金財源の穴埋めに当てる事に合意 した、と各紙が一斉に報じた。  この余剰資金はすでに昨年9月に会計検査院が指摘し、国庫に返納すべき だとしていた。しかし国交省が会計検査院の忠告などで自らの予算を手放す はずはない。返納されずにやり過ごされた。  それが年末の予算編成の大詰め段階で、年金の財源不足が明らかになって 慌てた財務省が、格下の国交省に迫ったのだ。  野田財務相が下っ端の馬淵国交相に吐き出せと命じたのだ。  しかも埋蔵金はそれだけではない。  当時の新聞を読み直してみると、鉄建機構の余剰金1.2兆円のほかにも あった。  外為資金特別会計から3兆円、財政投融資特別会計の余剰金から0.9兆円、 日銀・日本競馬協会の納付金などで2超円、合わせて7.1兆円の税外収入が 平成23年度予算案の歳入に計上された、と報じられた。  やっぱり埋蔵金はあったのである。そしておそらくまだ、まだあるに違い ない。  なぜ私が今日のメルマガで埋蔵金の事を書く気になったかというと、新年に 入って最初に発売された週刊現代1月15・22日号「ドクターZは知って いる」というコラムに、わが意を得たりと思う記事を見つけたからだ。  その記事は要旨こう書いている。  ・・・霞ヶ関埋蔵金は、正しくは特別会計のバランスシートにある資産負債 差額を指す。この差額は特別会計の運営には必要のない資金なので、余分な カネなのだ。財源不足を嘆くなら遠慮せずにどんどん活用すればいい・・・    埋蔵金は(小泉政権下の)06年度予算から毎年12月の予算編成期になる と話題になる。もはやいつもの見慣れた光景と言っていい。12月までは 財務省が「もうありません」と存在を否定し、12月末になると「やっぱり ありました」と前言を翻すパターンが何とかの一つ覚えのように繰り返され ている・・・  2011年度の予算編成を巡っても、財務省は「ない」と言い、それを (財務省御用記者クラブの)記者たちがなんの検証もしないまま垂れ流して きた。 ところがまたしても12月になると埋蔵金が出てきたのである・・・  今回の鉄建機構のような独立行政法人やその他の天下り法人のバランスシート も調べれば、特別会計分とあわせて埋蔵金はまだ30兆円ほど出てくると見ら れている。  政治家たちが今のままの意識でいる限り、まだ数年は毎年12月にバカげた 議論が繰り返されるだろう。  マスコミの責任も見過ごせない。毎年毎年、同じ議論と同じ結末を見続けて いるのに、なぜ財務省の言い分を鵜呑みにした記事を書き続けるのか。もう そろそろ事実に目を向けて、真面目に取材すべきだろう・・・  ここからが、今日のメルマガの私の言いたい事だ。  官僚たちは正確な埋蔵金の金額を知っている。あたりまえだろう。自分達の 予算だ。資産負債の差額を知らないはずはない。知らなければ予算を掌握して いない事になる。大問題だ。そんな事があるはずはない。  それにもかかわらずいつまでたっても埋蔵金があるかないかで議論が繰り返さ れるのは政治家が官僚に屈しているからだ。メディアが官僚と結託して本気で 追及しないからだ。  官僚に命じて数字を公表させる。公表すればメディアは嫌でも書かざるを えない。メディアが書けば国民の知るところとなる。無駄な議論は終わる。  こんな簡単な事ひとつできないということは、菅民主党政権はやはり官僚の 言いなりになってしまったということだ。  埋蔵金をうやむやにして消費税増税に政治生命を賭けるなどという菅首相は 夜郎自大ということなのである。                              了

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