□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月7日発行 第8号 ■ =============================================================== 郵政不正事件で残る疑問 =============================================================== 郵政不正事件は村木厚子厚生労働省元局長の無罪確定で終わった。 検察側の証拠改ざんが発覚し、検察改革が不可避となった。 無罪確定の村木元局長は冤罪の犠牲者として世論の同情が寄せられ めでたく職場復帰した。 これで一件落着だ。年が変わった。もはやこの事件は報道されることが なくなった。 しかし私はかねてから二つの疑問を抱いている。 一つは、村上さんの無実確定はいいとしても、「凛の会」と言う自称心身 障害者団体が偽の証明書を使って障害者郵便割引制度を悪用したという許し がたい犯罪の真相は解明されたのか、という事である。 凛の会の犯罪は明らかである。偽証明書を発行した厚労省の係長はその犯罪 を認め、現在公判中である。 上司であった村木元局長には監督責任はないのか、という野暮な事はこの 際言わない。 しかし偽証明書を係長の一存で発行したのか。係長に偽証明書を出せと 口利きした者は本当にいなかったのか、という疑問である。 もう一つは、村木さんは今どんな仕事をしているのか、という疑問だ。 彼女が菅民主党政権に重用され、内閣統括官として職場復帰したのは 知っている。岡崎トミ子少子化担当大臣の下で待機児童ゼロ特命チームの 事務局長をしているという。 しかし彼女は官僚だ。果たして国民のためになる本当の仕事をしているのか、 そういう立派な官僚なのか、という疑問である。 そう思っていたら、この二つ目の疑問に答えてくれる記事を見つけた。 1月5日付の日刊ゲンダイでフリージャーナリストの斉藤貴男氏が連載 「二極化・格差社会の真相」の中で書いていた。 もはや菅民主党の政策には何も期待できないとして、「子ども・子育て 新システム」についての問題点について要旨次のように書いていた。 ・・・「子ども・子育て新システム」の下では、現行の保育制度が担って きた児童福祉の機能が失われることになる(全国保育団体連絡会の実方伸子 事務局長)。 すなわち児童福祉法第24条が定める市町村の保育の実施義務が削除され、 保育の主体は民間の事業者へと移されていく。高齢者や障害者の福祉と同様の 民主化の流れだ。 新システムの根幹は小泉・竹中流の構造改革以外の何ものでもない。 保育を市場原理あるいはビジネスの論理に委ねれば、手間がかかって採算性 を低下させると見なされた子供は対象外にされやすい。 保育の質もカネ次第。事業者が進出してこない過疎の町では、子供を産む 事もままならなくなるだろう。 改正児童福祉法案の国会提出はもうすぐだ。国民的ヒロインのやること だからといって、すべてが正しいとは限らない・・・ 斉藤氏が指摘している事が本当なら、村木さんは菅首相の人気取り政策に 利用されているということだ。残念なことである。 了
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