□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月31日発行 第288号 ■ =============================================================== 検察組織改革の次は最高裁改革だ =============================================================== 今年一年の大きな出来事の一つは、悪を追及する検察組織の不正義が 見事に国民の前にさらされた事であった。 そしてそんな検察批判や検察叩きは一通り終わった。 もちろん検察改革は道半ばだ。検事総長の辞任だけで終わりにしては ならない。 しかし、もはや検察のおごりや独善は許されないだろう。国民の目は 検察に厳しく注がれることになった。 その一方で、検察以上に「法と正義」の実現を任されている組織がある。 検察以上に外部からの批判に超然としている組織がある。 検察が厳しくそのあり方を問われている蔭で、世論やメディアの批判が まったく行なわれない組織がある。 それが裁判所であり、とりわけその頂点に立つ最高裁判所である。 この事を喝破した記事を二つ見つけた。 一つは12月27日の毎日新聞「時流底流」の記事である。 ジャーナリストの原寿雄氏が要旨次のように書いていた。 ・・・聖域視は(なにも検察だけでなく)裁判官に対しても同じだ。 冤罪が明らかになったとき、捜査批判や報道側の自己批判はあっても、 有罪判決を下した裁判官への批判がないのは何故か。司法の民主化を本気 で進めるなら検察と裁判官との関係を根本から見直すべき時ではないか・・ もう一つの記事は12月28日の日刊ゲンダイにおける「溝口敦の斬り 込み時評」である。 溝口氏は要旨次のように書いていた。 ・・・前回、裁判官の問題点を指摘したら、最高裁から上告を棄却された 知人から、「最高裁のデタラメは目に余る。ぜひ世論を喚起して欲しい」と 電話をもらった。最高裁といえば「憲法の番人」とされ、名前を聞くだけで 恐れ入るような雰囲気がある。事実、最高裁は下級裁判所裁判官の指名権、 司法行政監督権、違憲審査での法令審査権、などを持つ。口うるさい弁護士 連中もこと最高裁に限っては、文句をつければ飯の食いあげとばかり触り たがらない。司法記者クラブに属するマスメディアの記者たちも最高裁を 恐れていっさい批判しない。かくて最高裁は絶対権力化し、絶対的に腐敗し、 暴走する・・・ これらの指摘は、実は極めて重要でかつ深刻な指摘なのである。 犯罪者かどうかは最後は裁判で決まる。 裁判で判定されれば、政治家であろうと官僚であろうと、著名人であろう と、その判決に従わざるをえない。 違憲訴訟でさえ、最後は裁判所が決めるのだ。憲法よりも偉いのだ。 ましてや一般国民にとっては最高裁の判決は絶対的だ。 そのような強大な権力を有する最高裁の裁判官の人選は正しく行なわれて いるのか。 最高裁判事の判決は常に正しいのか。 その判決に政治的な思惑が絡むことはないのか。 なによりも誰が最高裁判事の仕事ぶりを監視しているのか。 最高裁判事というポストのいくつかは司法試験を経ずして天下る官僚たち の指定席となっている。 かつてその中には年金問題の元凶を作った厚生官僚OBがいた。 今の最高裁判事の一人は、憲法9条に違反して自衛隊をイラクに派遣した 外務官僚OBである。 最高裁の矛盾は数えればきりがないほどある。 しかし、誰もそれを正面から指摘しない。是正しようとしない。 来年こそは最高裁判所改革の元年にしなければならないと私が考える 理由がそこにある。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)