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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

メディアより強いもの
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月27日発行 第279号 ■       ===============================================================    メディアより強いもの     ===============================================================  今年もまた様々な事件が起きた。  しかし、その事件を不当に煽ったり、その反対に、不当に世間の目から そらしたのは、メディアであった。  12月26日の東京新聞に、東商サポート&サービス社長という肩書きの 宇津井輝史という人が「空気をつくる新聞の使命」と題する評論で要旨次の ように書いていた。  ・・・日本は「空気」に支配される国である。空気は絶対的な支配力を 持つ。ある空気が社会を支配するとそれに抵抗する者は異端とされ、社会的 に葬られる。  マスコミは社会の公正を守る公器であり、報道の使命は権力を監視し、弱い 者の立場を守ろうとすることであるはずなのに、この国ではなぜか社会現象の 嵐に加勢し、空気を作っていくのに決定的な影響力を持つ。  マスコミはこの国では絶対的な支配力を持つ空気を醸成する装置である。  新聞もそれを自戒しながら公正中立な報道につとめてほしい・・・  心あるものなら誰もが思っている事だ。  しかし、私は宇津井氏の最後の言葉はなまぬるいと思う。  メディアに自戒を自発的に求めても無理だ。  自戒せざるを得ない状況に追い込まなくては自戒しない。  メディアには驕りがある。自分達もまた権力だと勘違いしている者が 多すぎる。  メディアが権力なら、その権力を監視し、牽制する手段が必要なのである。  それは何か。  最強の手段は、メディアを見る側の我々の姿勢である。  メディアを批判的に見る。つまらないメディアをボイコットする。購読数を 減らし、視聴率を下げる。これである。  購読者が減れば収益は減ずる。視聴率が下がれば広告収入は減る。 ひとたまりもないだろう。  しかしもう一つの手段がある。  それを指摘するのがこのメルマガの趣旨である。  海老蔵事件というのがあった。  あれほど大騒ぎをし、海老蔵たたきを繰り返していたメディアが、ある時点 からすっかり報じなくなった。  その理由を12月20日の日刊ゲンダイが、「テレビ局がビビリ始めた」と 見出しをつけてこう書いていた。  ・・・「海老蔵事件はもっと慎重に扱え」  テレビ局の上層部はこう現場に伝えている。12月16日に伊藤リオン側の 弁護士が記者会見を中止した辺りから雲行きが変わった。局の上層部はBPO (放送倫理・番組向上機構)が注目している事を危惧している。元リーダー側 に立って海老蔵を加害者のような扱いをすれば、問題になると考えている・・・  これである。  社会の公器が、犯罪者に加担してはいけない。ましてや法に触れるような事を しては立ち上がれなくなる。  放送倫理を盾にとってメディアの報道を糾弾するである。これである。  因みに放送倫理・番組向上機構とは日本放送協会と日本民間放送連盟、民放 連加盟会員各社によって出資、組織された任意団体であるという。  三つの委員会(放送倫理検証委員会、放送と人権等に関する権利に関する 委員会、放送と青少年に関する委員会)によって構成されているという。  どのような経緯でこの機構が出来たか、その役割はなにか。そんな事は どうでもいい。  いったん作ってしまったこの監視機構にメディアを監視させるのだ。  視聴者がどんどん苦情を寄せればいいのである。メディアは視聴者の良心的 な苦情を無視することはできない。無視するとしっぺ返しを受ける。  メディアより強い者、それはメディアが叩く事の出来ない名もなき一般国民 の声である。                                               了  追記  この原稿を書いた直後に、今日12月27日のスポーツ紙(スポニチ)が、 海老蔵事件は急転直下示談で終わる事になった、とスクープしているのを 見つけた。  その記事によれば金銭授受のない異例の示談となるらしい。  これ以上追及されると背後の事件性が明らかになる事をおそれた加害者側 が罪を認めて減刑を願っていること、訴訟を主張して報復されることを恐れた 海老蔵側がそれに応じたこと、などが理由とされている。  メディアが追及すべきはまさにその背景にある真実である。犯罪をウヤムヤに してはならない。闇の世界の取引を隠してはいけない。  しかし大手メディアは決してそれを書かないだろう。

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